「さて・・・・どのくらいもつかな?」
高みの見物を決め込むバーサークフュ―ラー。
その視線にあるジェノブレイカーは高速で移動し、エクスブレイカーを振りかざして、地上のディロースを数体まとめて薙ぎ払う。
スピードでには自信を持っていたディロフォースだが、ジェノブレイカーのスピードはそれを上回っていた。
敵陣の真っ只中に突っ込み、相手の砲撃をかわし同士討ちを誘っていく。
だが、本来一対であるはずのエクスブレイカーは先ほどのフュ―ラーとの戦いで左のモノをフリーラウンドシールドごと失っている。
当然左のガードが甘くなる。
相手もそれを理解し、シールドのない左側を狙い照準を合わせる。
しかし、彼らがトリガーを押そうとした瞬間に見たものは荷電粒子の奔流だった。
「うおおおおおぉぉぉ!!!!!!!」
エクスブレイカーを振るいながら、コマのように回転して荷電粒子砲を撃ったのだ。
そして上空へと跳ぶ。
先ほどまでブレイカーがいた場所をディロフォースの小型荷電粒子砲が着弾する。
いかに小型とは言え、これだけの数の粒子砲を受ければただではすまない。
上空へと逃れたブレイカーを追う影。
カマキリ型ゾイドのディマンティス。
腹部に装備されたイオンブースターを用いた低空飛行が可能なディマンティスはブレイカーの周りを
旋回しながら一斉にガトリングガンを発射。
いかにブレイカーといえども空中で全方向から飛んで来る弾を回避することは出きない。
「んなくそぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」
そこで浩平は右のシールドを盾にし、そのまま正面のディマンティスに突っ込んでいく。
「何!?」
予想だにしないジェノブレイカーの動きに突っ込まれたディマンティスはロクに反応できないまま吹き飛ばされる。
ブレイカーはそのまま身近にいたディマンティスの首を掴み、眼下にいるディロフォースの群の中に叩きつける。
そして怯んだ隙を突いて荷電粒子砲が放たれる。
魔装竜の猛攻が続いていた。
だが、機体の損傷は次第に増え、動きも衰えてきたように見える。
「来た・・・・・ね」
成り行きを見守っていたあゆがボソリと呟く。
その呟きとディロフォースとディマンティスに対する砲撃が行われたのはほぼ同時だった。
「誰・・・・・だ?」
砲撃を行ったのはジェノブレイカーではない。
まとわりつくディマンティスを尻尾の一撃で薙ぎ払った浩平は砲撃が行われた場所を見る。
そこには1機のダークホーン率いる2個小隊の姿があった。
「浩平!大丈夫!?」
通信機から流れてくる声は浩平がよく知っている少女のものだった。
「長森か!助かったぜっ!」
浩平は思わぬ救援に安堵の表情を浮かべる。
ダークホーンのパイロットは浩平の幼馴染である長森瑞佳だった。
彼女は通信が途絶えた浩平の身を案じ、戦闘が行われていると思われるこの場所へ赴いたのだ。
「みんな!浩平を援護するよっ!」
ガトリング砲を撃ちながらダークホーンがディロフォースを蹴散らしていく。
いかに最新型とはいえ、所詮は小型ゾイド。
Eシールドを張っていようともクラッシャーホーンの一撃には耐えられない。
そのダークホーンに続くようにレッドホーン、ブラックライモス、モルガが攻撃を仕掛けていく。
突然の出来事に対して謎のゾイド部隊は困惑しながらも即座にそれに対応する。
切り替えの速さから見ても新兵のようなミスを犯すものは誰一人としていない。
よく訓練された部隊であることが理解できる。
始めは瑞佳の部隊の攻撃に押されながらも、小型とは思えぬ性能と連携で敵機を撃破していく。
「浩平!」
「おう!」
その状況をみてとった瑞佳は浩平に呼びかけ、浩平もその意図を理解する。
ダークホーンがガトリング砲で敵を牽制し、一箇所に密集させる。
そしてその瞬間を逃がさずに発射される収束荷電粒子砲。
見事なコンビネーションで再び謎の部隊を押し返す。
「うん・・・・あのダークホーンのパイロットも使えそうだね。やっぱりあの二人を優先か」
ブレイカーとダークホーンのコンビネーションを見てあゆが冷たい笑みを浮かべる。
「そろそろ君たちの出番だよ」
あゆが無線機で指示を出すと同時に地の底で蠢くゾイドの姿があった。
「みんな、このまま一気に押し切る・・・・・!?」
そこまで言った瑞佳の表情が驚愕に彩られる。
突如としてダークホーンが操縦不能に陥ったのだ。
全ての計器がでたらめな反応を示している。
ダークホーンだけではない。
瑞佳が辺りを見回すとレッドホーンにブラックライモス、モルガ、そして浩平のジェノブレイカーまでも。
「どうしたっ!ブレイカーっ!?」
必死に操縦桿を動かす。
だが、ブレイカーは悔しそうに吼えるだけで動いてはくれない。
他のゾイドも同様だ。
謎の敵ゾイドを除けば――――。
その原因は地下にあった。
地底機グランチャー。
そのグランチャーの背びれが激しく発光している。
背びれから発射されている妨害電波が浩平達のゾイドの機能を狂わせているのだ。
周りの味方ゾイドが荷電粒子の光を浴びる。
バーサークフュ―ラ―の拡散荷電粒子砲だ。
身動きのできないゾイド達にそれから身を守る術などあろう筈がない。
他の味方も次々とディロフォースとディマンティスの餌食になっていく。
動けないブレイカーとダークホーンにゆっくりとフューラーが近づいていく。
瑞佳はフュ―ラーにガトリング砲を向けて発射しようとするが照準が合わない。
砲撃はまるで違う方向に飛んでいく。
「往生際が悪いんだよっ!」
「きゃっ!」
高速回転するバスタークローがガトリング砲を吹き飛ばす
「君達はよく闘ったよ・・・・ボク達鉄竜騎兵団<アイゼンドラグーン>相手に・・・・」
「アイゼン・・・・・ドラグーン?」
動かないダークホーンの中で瑞佳は相手の言葉を聞くことしか出来なかった。
「そう・・・ボク達はヘリックもガイロスも滅ぼす。どんな手段を用いても・・・・その為には君たちの力が必要なんだよ」
そして振り下ろされるバスタークロー。
「長森っ!!!」
「きゃぁぁぁぁっ!」
浩平の叫びも虚しくバスタークローがダークホーンのコアを貫く。
そして展開したバスタークローが容赦なくダークホーンの首を切り落とす。
「長森っ!!長森!!!返事をしろ!おいっ!だよもん星人!!!」
だが瑞佳からの返事はない。
瑞佳はバスタークローで貫かれた衝撃でコックピット内で気を失ってしまったようだ。
「さて・・・・次は君の番だよ。折原くん・・・・・」
切り落としたダークホーンの首を持ったバーサークフューラーが今度はブレイカーへと近づいていく。
その瞬間浩平の中で何かが弾けた。
「ふざっけんなー――――ッ!!!!!!」
それがジェノブレイカーの本能と闘争心に火をつけた。
瞬く間にジェノブレイカーに力が甦ってくる。
あらゆるゾイドの性能を束縛するグランチャーの妨害電波でも、生粋のオーガノイドシステムを備えたブレイカーを何時までも抑えきれなかった。
常識を超えた闘争心と本能が浩平の感情と直結し、妨害電波の影響を打ち払ったのだ。
「え!?」
それに一番驚いたのはもちろん止めを刺そうとしていたあゆだ。
突如として復活したブレイカーが頭部のレーザーチャ―ジングブレードで左のバスタークロー基部を切り落とす。
続けざまにエクスブレイカーがバーサークフューラーを襲う。
残ったバスタークローでそれを防ぐがブレイカーの顎がその基部を捕まえる。
「うおおおっ!」
ブレイカーの強靭なパワーの前にあっさりと引き千切られる。
さらに爪で追い討ちをかけるが、さすがにこれはかわされる。
あゆは自分の甘さに唇を噛んだ。
いくら予想外のブレイカーの動きとはいえ、ここまで一方的にやられたのは自分の油断以外の何者でもなかった。
すぐにブレイカーから離れその場を離脱しようとする。
グランチャーの妨害電波が効かない今、傷ついたフュ―ラーと残った戦力でブレイカーを倒すのはリスクが大きすぎる。
そう判断したあゆは迷わず離脱を決める。
「長森を返せぇぇぇっ!!!!」
浩平はバーサークフューラーを追おうとするが、そはさせじとディロフォースとディマンティスが立ち塞がる。
荷電粒子砲を発射し、それらを吹き飛ばし、スラスターを吹かす。
だが、その瞬間を狙いすましたかのようにバーサークフューラーの拡散荷電粒子砲が放たれる。
「ぐうっ!!」
さすがに足を止めざるを得ないブレイカー。
すかさず襲い掛かってくる鉄竜騎兵団小型ゾイド。
狂ったようにエクスブレイカーを振りかざし、荷電粒子砲を撃つブレイカー。
そしてその間にフュ―ラーはどんどんと離れていった。
「折原浩平・・・・・・この屈辱・・・・忘れないからねっ!!」
ブレイカーが立ち塞がる敵を倒したときにすでにフュ―ラーの姿は見えなかった。
また、ブレイカーのダメ−ジも大きく、スラスターも2機破損していた。
今から追ってもとても間に合わない。
「くっそおおおおおぉぉぉっ!!!!!!!」
浩平とブレイカーの悲しみと怒りが混じった咆哮が辺りに響いた・・・・・・・・・・・・・。
予告
名雪「ああ、なんだか大変なことになってきたよ〜」
秋子「そうね、これはそろそろ私の出番かしらね?フフフ」
名雪「でも、作者のことだからきっとまだ何も考えてないよ?」
秋子「その時はこれを使うまでよ」
名雪「(ビクッ)それじゃ次の予告だよ〜」
秋子「折原さんと祐一さん達は久しぶりの再会を果たしますが・・・・・・」
名雪「次回、ZOIDS Kanon Destiny EX 第7話 「新たな仲間」なんだお〜」
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最近やたらとレドラーとステルスバイパーが欲しいけどやっぱり売ってない・・・・・・(泣)