――――ZAC2101年5月
ヘリック共和国とガイロス帝国。
2つの国の永きに渡る戦いは終結を迎えた。
そして互いの国に使節団を派遣し、2度とこのような戦いを起こさぬよう最善の努力を努めようとしていた。
だが今の平和は、永い戦いを繰り広げてきた両国にとって一瞬で崩れる可能性もあった。
戦争で失った命、払った犠牲は決して小さくない。
お互いに相手に対するわだかまりや敵意を完全に無くすにはまだ時間がかかるだろう。
そこで両国は互いの監視も含めた意味で中央大陸、西方大陸、暗黒大陸の3つの大陸
それぞれにヘリック・ガイロス連合軍による監視のもと軍備の縮小が始まっていた。
だが、一方で西方大陸戦争を起こした元帝国摂政久瀬の行方は已然と知れず、
両国の上層部では彼とその私設部隊PK<プロイツェン・ナイツ>を危険視する声も少なくなかったが、
具体的な対策が取られぬまま2ヶ月がすぎた・・・・・・・・・・・・。
西方大陸――とある連合軍基地
「警報!?なにが起こった!?」
「敵襲です!!敵ゾイド・・・・全てデータにない機体です!!」
「データにない機体だと・・・!?くっ、第一種戦闘配備!準備が整った機体から出撃せよっ!」
基地内に警報が鳴り響く中、次々とゾイド部隊が出撃していくが、すでに基地は未知のゾイド部隊によって包囲されていた。
「こんな基地・・・・潰すのは簡単なことだよ・・・・・・いくよ・・・・バーサークフュ―ラー・・・・」
未知のゾイド部隊を指揮しているであろうゾイドのパイロットが呟く。
そのゾイドは巨大ドリル、高機動ユニット、重装甲に身を包んだティラノ型ゾイドだった。
そしてそのゾイドの叫びを合図に謎のゾイド部隊は基地守備隊に襲い掛かっていく。
未知のゾイド部隊と守備隊との戦闘が始まった。
それは戦いとはいえない、一方的な虐殺だ。
守備隊のゾイドはなす術もなく蹴散らされていく。
「馬鹿なっ!?何故我が部隊がこうも簡単に・・・!?」
一方的な成り行きに守備隊の隊長は驚きを隠し切れない。
「奴が指揮官か・・・?なら、あいつさえ叩けば・・・!」
―――敵部隊を撤退させることが可能かもしれない。
そう考えた隊長は自らの乗機ジェノザウラーを敵ティラノ型ゾイドへと相対させる。
―――いかに相手が未知のゾイドとはいえ、このジェノザウラーならば遅れは取るまい
そう思って荷電粒子砲を発射する。
敵ゾイドはその場から動こうとしない。
直撃―――のはずだった。
荷電粒子の光は敵ゾイドに当たる寸前に敵ゾイドのドリルのような武器から発せられる光によって弾かれたのだ。
「Eシールド!?」
それがそのパイロットの最後の言葉だった。
Eシールドを発生していた武器がドリルのように高速回転し、ジェノザウラーのコックピットを貫いたのだ。
「こんなのが相手じゃBFの調整にもならないね・・・・・・・・・」
ティラノ型ゾイドのパイロットは抑揚の無い声でいいながら炎上する基地を見つめていた。
その基地が壊滅したのは戦闘開始からわずか一時間たらずのことだった。
基地は全壊、ゾイドそのものは戦闘不能でも無傷のコックピットが多数あったにも関わらず、生存者は誰一人おらず、
死亡が確認されたもの以外は全て行方不明となっていた。
そしてこのような事件は一度だけにとどまらず、西方大陸の各所で起こるようになった。
これに対し、両国上層部は基地の警備を強化するとともに、この事態を調査・解決のため特務部隊を結成することにした。
しかし、現在は軍備縮小が続いている為、大規模な部隊による行動はできない。
必然的に、優れたエースパイロットを選出した少数精鋭部隊となる。
共和国からは祐一たち、スノークリスタルのメンバーも選出され、
祐一達の部隊名もスノークリスタルをそのまま流用することになった。
「しっかし、帝国のパイロットってどんな奴がくるんだろうな」
ここは、ニクシー基地にあるブリーフィングルーム。
祐一たちは帝国から選出されたスノークリスタルメンバーと合流する為にここを訪れていたのだ。
「そんなのすぐにわかるんだからいいじゃない」
待たされている間にすることもなく退屈を持て余してだらけている祐一に香里が呆れながら言う。
「んなこと言ったって気になるものはしょうがないだろ?」
「くー・・・・・・いちごジャム・・・・」
名雪はすでに夢の中だった。
「こいつは・・・・・」
そんな変わり映えしないいとこに溜息をつきながらドアをほうを向くとタイミングよくその扉が開かれる。
「お待たせしました」
「お待たせ―っ」
中に入ってきたのは髪の短いおとなしそうな少女と髪が長く、元気のいい少女の対照的なコンビだった。
「・・・あれ?」
祐一達は全員その二人の声に聞き覚えがあった。
「お久しぶりですね、みなさん」
髪の短い少女――天野美汐がぺこりと頭を下げる。
そう、二人は以前、祐一達と戦ったこともあり、デススティンガー戦のときに協力もした天野美汐と沢渡真琴だった。
予告
栞「今回みんなセリフがありませんでしたね」
香里「そうね、EXが始まってから私達の出番がロクにないわね」
栞「大丈夫ですよ、今までのはいわばプロローグっ!次回からきっと」
香里「前回、前々回の予告も同じようなこと言ってたわね」
栞「うっ・・・・・。そんなこと言う人嫌いです」
香里「さて、そろそろ予告いくわよ。謎のゾイド部隊に対抗すべく、わたし達は再び戦場へと赴くことになったわ」
栞「早速、壊滅した基地の調査を開始するんですが、何も手がかりをえることはできません。
香里「その頃あの魔装竜ジェノブレイカーを駆る折原君があのティラノ型ゾイドに襲撃されてしまうの」
栞「次回!ZOIDS Kanon Destiny EX 第4話は 「魔装竜VSBF」!・・・ですっ」
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ネメシス「身体中筋肉痛で痛い・・・・・・・」
彩花「ここでそんなこと愚痴ってどーするのっ?」
ネメシス「んなこといったって痛いものは痛いんだっ!普通に歩くのでさえ痛みが走るんだぞっ!こんなんじゃ飯も作れんじゃないかっ!」
彩花「そんなの日頃運動してないからでしょーがっ!!自業自得よっ」
ネメシス「うぐぅ・・・・・・詳しくは3/23の日記参照・・・・」
彩花「こんな作者は放っといて・・・・・では、また次回お会いしましょう〜」