HAPPY★KANON

 

第17話

 

 

 

 

 

夢・・・

夢を見ていた・・・

それは遠い昔の夢・・・

父さんと母さんに囲まれて・・・

何処にでもあるありふれた家庭の風景・・・

ごく普通のありふれた日常がずっと続くと思っていた・・・

いつもまでも変わらずに・・・ずっと・・・ずっと・・・

 

 

でも・・・父さんと母さんがいなくなって・・・

そんな日々は終わりを告げた・・・

前触れもなく・・・唐突に・・・

 

そして俺は・・・泣いていた・・・

もう2度と・・・あの暖かいぬくもりを・・・

家族のぬくもりを感じることができないと・・・

そう・・・・思い込んでいたんだ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「・・・大丈夫・・・大丈夫だから・・・・・」

優しい声が聞こえる・・・・。

誰だろう・・・頭には暖かいぬくもりを感じる。

朦朧とした意識の中・・・・俺はゆっくりと瞼を開いた。

「・・・・さつき・・・・ママ?」

目を開くとそこには俺を見下ろすようにさつきママがいた。

後頭部には暖かい感触。

・・・・・・・むぅ、もしかしてこれは俗に言う膝枕?

「・・・お、気が付いたか・・・」

俺が目を覚ましたことに気付くとさつきママはにっこりと笑って頭を撫でてくれる。

・・・それがとても心地よかった。

あれ?俺さっきまで何してたっけ?

「ごめんな。・・・・ちょっとはしゃぎすぎちまった」

バツが悪そうにさつきママが言う。

・・・・・・そっか。俺はさつきママに締め落とされたんだっけ。

「いや、たいしたことないから。よっ・・・っと」

無事をアピールをしようと思って腹筋に力をこめて起き上がる。

「ほら、俺って頑丈に出来てるからこのぐらいならなんでも・・・!?」

不意に思いっきり抱きしめられた。

「さ、さつきママ?」

さつきママは無言でぎゅっと力を入れてくる。

でもそれはさっきのヘッドロックの時とは違い、暖かみに満ちていた。

・・・・気が付くと俺の頬は濡れていた。

どうやら昔の夢を見て泣いていたらしい。

「大丈夫・・・・オレはずっと傍にいるから・・・大丈夫だから・・・」

・・・普段だったら気恥ずかしくてパニクってしまうところだが不思議と落ち着いていた。

なんていうか、こう・・・懐かしい感覚にとらわれている。

そうだ・・・・昔俺が泣いていた時はこうやって母さんに抱きしめて貰ってったっけ。

あの時に感じたのと同じぬくもりなんだ・・・。

目を閉じてそのままその感覚に身を委ねる・・・。

 

 

「さっつきちゃ〜ん!!祐一くん起きた〜!?」

 

がばっ

「う、うわっ!うづき!?」

突然部屋に飛び込んでくるうづきママ。

とっさに離れる俺とさつきママ。

び、びっくりしたぁ・・・・。

「うん、祐一くん。ちゃんと起きてるね。さすがうづきの息子だね♪感心感心

「あ・・・う、うん」

「い、いきなり脅かすなっ!おまえはもう少し普通に登場できないのか!!」

胸を抑えながら怒鳴るさつきママ。

た、確かにあれは心臓に悪いよな、うん。寿命が縮むかと思った。

「アハハッ☆ごめん、ごめん。・・・アレ?二人とも顔真っ赤だよ?何かあったの?」

「べべべべっべ、別に何もないぞ!な、なぁ、祐一?」

「そ、そうそう。そんなことあるわけないじゃないか!あははっ」

とりあえず笑って誤魔化す。

「う〜ん、本当に?」

うづきママはさすがに動揺しまくっている俺たちを不審に思ったのか首を傾げる。

「あ、そ、そんなことより他のみんなはどうしたんだ?みなや咲耶は?」

「うふふ〜、それはすぐにわかるから楽しみに待っててね♪」

何かを企んでいるのか一瞬うづきママの目が怪しく光る。

(・・・絶対に何か企んでるな)

本能的にそれを察知した。うづきママがこういう目をしているときは何かを企んでいる時だ。

「さぁさぁ、祐一くんも起きたことだし、さつきちゃんも早く準備しなくちゃ♪」

「ええ!?お、俺は嫌だっていっただろ!?ぜっったいに嫌だ!!あ、こら!うづき!放せっ!」

「あははっ、照れない、照れない。いいから早くいこっ!みんなはもう準備できてるんだから」

「嫌だっていったら嫌だ〜っ!!」

・・・・・あの小さな体の何処にそんな力があるのか、暴れるさつきママを引きずりながらうづきママは出て行った。

「あ、祐一くんはここで待っててね

「・・・了解」

ひょいっと顔をだしたうづきママに手を上げて答える。

う〜ん、前々から思っていたけどあの二人って良いコンビだよな。

それにしても・・・・準備って何だ?

 

 

 

 

 

 

 

「ではでは!これより相沢家第1回コスプレショーを始めま〜す!」

 

 

・・・・・・・はい?

一人取り残された俺が仕方なくテレビを見ていると、

いきなり現れたハイテンションのうづきママが訳のわからないことを言い出した。

おまけにその後ろでは壁が開いてステージのようなものが出てきた。

「・・・・あのぉ・・・・うづきママ?質問いいですか?」

おずおずと手を上げて聞いてみる。

「はい!祐一くんどうぞっ!」

ビシッと効果音がつきそうな勢いでいつも手にしているスティックを突きつけてくる。

「第1回コスプレショーって・・・・何?ついでにその後ろのステージは・・・・・」

「うふふ〜、よくぞ聞いてくれましたぁっ!」

待ってましたといわんばかりにクルクル回転して決めのポーズを取るうづきママ。

この人のテンションって下がることないのかなぁ・・・。

「相沢家第1回コスプレショーとは、その名のとおりわたしたち5人のママと
みなづきちゃん、咲耶ちゃんの7人でうづき特製のコスプレ衣装を披露するので〜す♪」

ワァー!!パチパチパチと、いう歓声と拍手がステージのほうから聞こえてくる。

・・・・舞台装置デスカ?

「え〜と、じゃあ、そのステージは?」

なんとなく予測はつくものの一応聞いてみる。

「うん、これはね、きーちゃんお手製のステージだよ。こんなこともあろうかと徹夜で作ってくれて.たんだって☆

もしやと思ったらやっぱり貴方ですか、きさらぎママ。

てゆーか、たった一晩で家を怪しい仕掛け満載のびっくりハウスに改造したんですか。おまけに徹夜で。

ふっ・・・・ちょっと泣けてくるぜ(泣)

「・・・うづきさん・・・みんな・・・準備完了・・・です」

 

 

夜はまだ終わらない・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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                                UP Date 7/23

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ちょっと長くなりそうだったんで一区切りです。

さて・・・みんなにはどんなコスプレをしてもらおうか・・・。

彩花「もしかして・・・・考えてないの?」

・・・・書きながら考えてくつもりだったから。

彩花「はぁ・・・・もう少し考えてからかこうよ・・・」

無理だな、多分。

彩花「・・・・・・」

ゴスッ

ぐ、ぐはぁ・・・。

彩花「とりあえず・・・作者も来週は休みに入ってるのでもう少し早く書き上げられると思うので、もう少し待っていてくださいね」

みなづき「それと、みなや咲耶ちゃん、ママさんたちにさせたいコスプレも募集中なのでよろしくお願いしま〜す」

彩花「ほんと・・・・他力本願な作者だね・・・・はぁ」