HAPPY★KANON

第16話

「みなづきさん、咲耶さん、二人とも遠慮しないで食べてくださいね♪」

「ええ、ありがとうございます」

「はい、いただきま〜す」

さ、まずは最初の作戦。

ママさんたちが作ったお料理の欠点を見つけなきゃ。

「・・・・・・・・・・」

テーブルに並べられた料理はみんな見た目も良くて味も良さそう。

うう・・・・く、悔しいけど私じゃ、ここまでのものは作れないわ・・・・。

ううん、挫けちゃダメ！いくら見た目が良くたって肝心なのは愛情と味なのよ！

「どうした・・・咲耶？食べないのか？」

「え？あ、ううん、そんなことないわよ」

お兄様に不審な目で見られてたみたい。

いけない、いけない。考え事に夢中になってたみたい。

とりあえず、手近なものから食べてみないと・・・。

「・・・・どうだ、みな、咲耶。むつきママの料理の味は？」

「美味しい・・・・！私いままでこんな美味しいモノ食べたことないわ！」

「うん、みなもっ！むつきママってお料理上手なんですねー♪」

「ふふっ、おかわりもたくさんあるので遠慮しないで食べてくださいねｩ」

「そうそう、たくさん食べないとオレみたいに体力つかないぞ！」

「でもでも！体力と胃袋だけが取り柄のさつきちゃんみたいになったら駄目だよ」

「こらっ！うづき、それはどーいう意味だっ！」

「どうーいうも何もそのままの意味だよッ♪」

「あら、それは大丈夫よ。みなづきちゃんも咲耶ちゃんもさつきさんとはタイプが違うもの」

「ああっ！やよいまでそーいうこというか！」

「・・・・事実・・・です・・・から」

・・・・・・・・

「まーた、始まった・・・。悪いな、みな、咲耶。騒がしくてな」

いきなり口論を始めちゃったママさんたちに苦笑するお兄様。

でも、その顔は言葉とは裏腹になんだか楽しそう。

今まではわたしたち以外にそんな顔は見せたこと無かったのに・・・。

「ううん、そんなことないよ。みな、とっても楽しいよ。ね、咲耶ちゃん？」

「ふふ・・・そうね。施設にはここまで個性的な人たちはいなかったものね」

「はは・・・・個性的・・・ね。確かにそうなんだが・・・・・・」

個性的の一言で済ませていいのか・・・・？って、苦笑するお兄様の顔がその言葉の続きを物語っている。

ふふ・・・・こーいうお兄様を見るのってなかなかないかも。

「あ、むつきママ、これってどうやって作るんですか？」

「それはですね、割と簡単に作れるんですよ。まずはですね・・・・」

「あ、それ、わたしにも教えてください！」

「はい、もちろんですよ」

むつきママに料理を教わる私たちを見てお兄様も満足そう。

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・って、違うわよ！

ママさんたちの欠点を暴こうという作戦だったのに料理を教わってどうするの！

いきなりこんなんじゃ駄目じゃない！

ううっ・・・・・どうやら最初の作戦は失敗みたい・・・。

悔しいけどわたしの完敗だわ・・・・・。

・・・・・・でも、むつきママの料理って本当に美味しいのよね。

私もいつかこんな風な料理をお兄様に作って上げられるのかしら？

むつきママって、パッと見なんとなく抜けてそうでいかにも天然ボケって感じなんだけど・・・・素敵な人かも。

でも・・・・・・・・なんでメイド服なのかしら？

むつきママだけじゃなく他のママさんたちも・・・・巫女さんに看護婦に････天使？それに競泳水着？

・・・・・見事にバラバラね・・・。

もしかして・・・・お兄様の趣味？

「ねぇねぇ、祐一くん。さっきから咲耶ちゃん、急に落ち込んだり、意気込んだりしてるけどどうかしたの？」

挙動不審の咲耶が気になったらしく、オレンジジュースを手にしたうづきママが聞いてくる。

「ああ・・・・あいつは昔から思い込みが激しくてよく暴走するんだ。よくあることだから気にしなくていいよ」

「へぇ〜、そうなんだ。流石、祐一くんの妹だけあって面白い子だね。食べ終わったら一緒に遊んで貰おうっと♪」

うづきママ・・・・それはどう言う意味かな？

「よくある・・・ねぇ・・・・なかなか個性的な子ね」

・・・・・だからママたちがそれをいうかな・・・・・。

ガシッ！

「ゆ・う・い・ち〜。それはどー言う意味だ〜？」

「ぐ、ぐおおぉ〜」

し、しまった・・・・声にだしていたらしい。

背後に回ったさつきママの腕ががっちり首に極まっている。

そして同時に背中に柔らかな感触が・・・・・ぐはぁ。

「あぁ、お兄ちゃん大丈夫？顔真っ赤だよ？」

「・・・・大丈夫・・・です・・・あれはさつきさん流のスキンシップ・・・・ですから」

「そうなんですか？」

「ええ。あーみえてもさつきさんはちゃんと手加減してるから。いざというときは保険医のわたしもいるしね」

「いざというときってなんだ！いざって！のんきにお茶を飲みながら物騒なことを言うな！！」

「・・・・生命維持装置も・・・・準備万端・・・・です」

そういって後ろに何か妖しげな機械を弄るきさらぎママ。

って、それ、いつの間に、どっから出した！？

生命維持装置なんて用意する前に助けようかとかそんな気はないのか！？

「そういうことなら、安心ね。お兄様、ファイトよｩ」

「きゃはっ。祐一くん頑張れ〜、さつきちゃんなんかに負けるな！」

・・・・・・誰もそんな気はないらしい。いや、ってかそんなこと考えてる間に意識がやばいって。

ならば、自力で外すのみ！！

「ぬおおおお！！」

「ハッハッハッハ。そう、簡単にオレのロックが外せるものか！」

「ぐああ〜、な、なんの！火事場の底力〜！！」

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

まぁ、俺がさつきママの怪力のかなうはずもなく、危うく三途の川を渡りかけたのは予想できるだろう。

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次回はコスプレショーです（謎）