HAPPY★KANON

 

第13話

 

 

 

 

「へえ・・・結構いい感じの店だな」

名雪達に案内されて入った店は百花屋という、雰囲気のいい喫茶店だ。

「雰囲気も良いし、安くてリーズナブルですよ」

「ほう、まさに至れり尽せりだな」

「えへへ、そうでしょ?わたし達のお気に入りなんだよ〜」

「名雪はイチゴサンデーだけが目当てでしょ?」

「・・・・香里、誤解を招くような言い方しないで」

「違うの?」

「違うんですか?」

間髪入れずに入る美坂姉妹‘sの突っ込み。

「・・・・・うぅ〜、祐一〜」

俺の制服を引っ張られても困るんだが、ここは一つ。

「違うのか?」

「うぅ・・・・・・みんながわたしをいじめる・・・」

「冗談だ、冗談。それぐらいなら俺が奢ってやるから元気だせ」

マジで落ち込みかけた名雪の頭を撫でてやる。

「本当!?うん、わたし元気出すよ」

ほら、ね?わたし達の言ったとおりでしょ、と香里の視線が物語っている。

栞も苦笑している。

・・・・・・・美坂姉妹の言うこうとは正しかったのかもしれない。

俺は溜息をつきながら席へと案内されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、祐一さんて一人暮らしなんですか?」

席についた俺たちはそれぞれにオーダーを頼み、談笑していた。

ちなみに俺と香里がコーヒー、栞がバニラアイス、名雪がイチゴサンデーを頼んだ。

「ああ、7年前に両親が事故でいなくなってな。最近まで施設で暮らしてたんだ」

「・・・・・あっ、その、ごめんなさい・・・・・」

「別に栞が気にすることじゃないさ。昔のことだしな。俺も気にしてないから」

そんな俺の言葉に、栞の気まずそうな表情もゆっくりと変わっていく。

「・・・・はい。ありがとうございます。・・・・・・祐一さん、優しいです」

「誉めても何も出ないぞ・・・・・・」

栞の笑顔がなんとなく気恥ずかしいので、コーヒーをすすりながら目をそらす。

「相沢くん、照れてるわね」

「・・・・・・ぐ」

「あはは、祐一さんなんだか可愛いです」

「可愛い言うな・・・・」

一番からかいやすそうな栞にからかわれるとは・・・・。

「は〜、わたし幸せ〜」

どうにかして話題を逸らそうと考えてくると名雪の気の抜けそうな声が響く。

さっきから会話に参加して来ないと思ってたらイチゴサンデーに夢中だったのか。

「ほんと、毎回頼んでよく飽きないわね」

「ですね。ここに来ると必ず頼んでます」

またもや同時に入る美坂姉妹の突っ込み。やはり姉妹というか、中々のコンビネーションだ。

「う〜、栞ちゃんだって必ずバニラアイス頼んでるよ〜」

「どっちもどっちでしょ。二人ともそんなだといつか太るわよ」

「「う」」

香里の冷静な突っ込みに二人の表情が凍りつく。

「わ、わたしは運動してるから平気だもん」

「そ、そんなこという人嫌いですっ!」

「二人とも、どもってるぞ」

「「う〜」」

二人の動揺が手にとるようにわかって、ちょっと、いやかなり面白い。

「祐一いじわるだよ・・・・」

「祐一さんいじわるです・・・」

「俺か!?」

間髪入れずに3人が頷いて、

「極悪人だよ・・・」

「外道です・・・・」

「鬼畜ね」

「・・・・・・なんでそこまでいわれなきゃいけない?」

「だって、祐一だもん♪」

「祐一さんですから♪」

「相沢くんだから♪」

「・・・・・・・」

俺が何をした?なんかとてつもなく理不尽な気がするのは何故デスカ?

「もちろん冗談よ」

「です♪」

「え?そうだったの?」

「・・・・・・・ほう。名雪、そんなにイチゴサンデーを自腹で払いたいか?」

「え?あ、あ、うん。わたしも冗談だよ。うんうん」

・・・・・・・絶対に本気だったな名雪のやつ。

「・・・・・まったく」

 

 

 

 

 

「それじゃ、今日はここで解散だな」

百花屋を出た後、商店街の入り口まで来たとこで後ろを振り返る。

「結局、百花屋でおしゃべりしてだけになっちゃたけどね」

栞と名雪を見ながら香里が肩をすくめる。

「でも、楽しかったですよ?」

「栞、あなた最初の目的を忘れてるでしょ?商店街を案内するつもりだったでしょ?」

「・・・・・あ、そういえばそうでしたね」

「俺は楽しかったから別に構わないぞ。また次のときに案内してくれればそれで済む話だしな」

「うん、わたしもまた付き合うよ」

「・・・・名雪、部長があんまりサボるのは良くないと思うわよ」

「いいんだよ〜。わたしにも優先順位っていうものがあるもん」

・・・・・・・なんだそりゃ。

 

「きゃーっ!そこの人、どいてくださ〜い!!!!」

「え?」

どこかで聞いたことのあるような声に後ろを振り向くと、

下り坂をもの凄いスピードで降りてくる自転車が一台真っ直ぐこちらに向ってくる。

真っ直ぐこちらに・・・・・・?

「って、おい!!ぐはぁっ!!!!」

冷静に状況を把握してる間に自転車はスピードを緩めることなく俺に激突・・・・もとい俺を轢いていた。

「い、たた・・・・・」

な、なんかこの街に来てからこんなのばっかのような・・・・。

「すみません!だ、大丈夫ですか!?」

「な、なんとか・・・・」

自転車から降りてきた女の子に片手を上げて無事をアピールする。

「・・・・大丈夫?」

しっかり自分達だけは避難していた名雪たちも心配そうに寄ってくる。

「いきなりブレーキが壊れちゃって・・・・・、あ、あの本当にすみませんでした!」

女の子は勢いよく頭を下げる・・・・・・って。

「・・・・・・みな?」

「・・・・・・・・・え?」

顔を上げた女の子・・・・みなとばっちり目が合う。見間違えるはずも無い。

「・・・・・・・・お兄・・・・ちゃん?」

・・・・・・・なんで?

・・・・・・・なんでみながここにいる?

「お兄ちゃん!あはっ!お兄ちゃん見つけちゃった〜!!」

みなの驚いた顔がいきなり笑顔に変わって

「って。おい!抱きつくな!」

「だって、みな嬉しいんだも〜ん!!」

「・・・・・・!!」

「・・・・・・お兄ちゃん?」

「・・・・・・相沢くん・・・・・誰?その子は?」

なんか、後ろから恐ろしい視線を感じて慌てて弁解する。

「いや、お前等・・・・・勘違いするなよ?こいつはだな?」

「お兄ちゃん・・・て、呼んでることは祐一さんの妹さんですか?」

栞さん、笑顔がとっても怖いんです。

「みな、妹じゃないも〜ん」

「と、いうことはこの子は相沢くんの幼馴染で」

「小さい頃からお兄ちゃんと呼んでいる萌え萌え設定のキャラと、いうことですね?」

「相沢も抜け目ないなー。ハッハッハ」

ど、何処から沸いて来た!?北川!!B!!C!!

「邪魔・・・・・・・・・・けろぴー!!」

「あんたたちは・・・・・・・引っ込んでなさい!!!」

どこからともなく湧いてきたカエル(?)のぬいぐるみらしきものと、香里のアッパー(メリケンサック装備)によって星になる3人組。

・・・・・・・できることならそのまま永久に星になっててくれ。

「・・・・・・・・・で?祐一さん、その子とはどういう関係ですか?」

だから笑顔がとても怖いって。

「いや、こいつはだな?」

 

 

 

「みな、お兄ちゃんの婚約者だよ

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

「「「婚約者ぁっ!?」」」

 

 

 

見事に3人の声がハモる。

「・・・・・・相沢くん、きっちり説明してくれる?」

「・・・・・・私も聞きたいです♪」

「・・・・もちろんわたしもね?」

・・・・・・・とりあえず笑顔でもの凄い殺気を放つのはやめて欲しいデス(汗)

 

 

「ちょっと待った!!」

 

 

・・・・・・・この声は・・・・ああ、そうだよ。

みながここにいるんだからあいつがここにいても不思議じゃない。いや、むしろいないほうがおかしい。

「お兄様の婚約者はこのわ・た・し!これだけはいくらみなづきちゃんでも譲れないわよ

声のするほうを見るとやっぱり予想したとおりの光景だった。

特徴的なツインテールの髪型の馴染み深い女の子が立っている

「お・ま・た・せ・お兄様

「・・・・・・咲耶」

あ、あはは・・・・・こ、これから先どうやって収集をつければいいんだ・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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                                UP Date 2/24

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・・・・・・・まぁ、自分が気に入らなくなったのなら見なければいいというわけで・・・・。

とりあえず自分がやりたいようにやってきます。