HAPPY★KANON

 

第10話

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ・・・・・」

四時間目のむつきママの授業。

昨日は昨日でいろいろあったから流石にちょっと眠い。

軽いあくびをしながら横を見る。

「くー」

そこには気持ち良さそうに寝ている名雪の姿があった。

こいつは朝も(寝坊で)遅刻ギリギリだったくせに。

俺もこいつにならって眠りたいとこだがさすがにむつきママの授業でそれはマズイ。

家に帰ってから何を言われるかわかったもんじゃない。

幸いあと、少しで昼休みだからそれまでの辛抱だ。

 

「はい、これで今日の授業は終了です。皆さん、ちゃんと今日やったところの復習をしてくださいね♪」

チャイムが鳴るのと同時にむつきママの授業もとっびきりの笑顔で終わる。

教室がとたんに騒がしくなっていく。

当然俺の周りも・・・・

 

ガラッ

 

「祐一さん、いらっしゃいますかー?」

 

なんて明るい声とともに上級生が一人教室に入ってくる。

俺の知ってる上級生といえば、昨日知り合った二人。

もちろんこんな明るい声を出す人は佐祐理さんしかいない。

・・・・・・・・・教室中の視線が俺に集まる。

そりゃ、いきなり上級生が昼休みに下級生の教室に入ってきて、転校2日目の俺を探しに来たんだから当然といえば当然だ。

・・・・・・・・・・そのなかに若干敵意の混じった視線があるような気がするのは気のせいということにしておこう。

「えっと、佐祐理さん?どうしたの、いきなり」

「はい、祐一さんと一緒にご飯を食べたいと思ったのでお誘いに参りましたー」

なんて嬉しいことを太陽のように明るい笑顔で言ってくれる佐祐理さん。

「・・・・・・祐一、その人誰?」

「わたしも是非、知りたいわね・・・・」

俺が一人で浸っていると・・・・何故かジト目で名雪と香里が睨んでくる。

気付けば2人だけでなく、教室を出て行こうとしてたむつきママも同様だ。

・・・・・・・正直、その視線が怖い。とくにむつきママは何か誤解してるような・・・・・。

ともかくこの状況はとにかくヤバイ。

ニュータイプでなくてもこの緊迫した状況が危険だということは察知できる。

「誰と言われてもな・・・・この人は3年の倉田佐祐理さんだ」

「へぇ〜、相沢くんて転校2日目なのにもう3年生の知り合いがいるんだ」

「お、おう・・・昨日ちょっと。な、佐祐理さん」

「はい、おかげで昨日はとっても楽しい時間を過ごせましたから」

「へぇ・・・・・・」

「ふーん」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

心なしかさらに視線が冷たくなったような気がする。

 

「おーっと、これはお約束のラブラブシチュエーションですかぁ!?」

「ん〜、転校生を巡って先輩、幼馴染、委員長の魅惑のトライアングルですなぁ〜」

 

「おのれらは引っ込んでろ―――――っ!!!!」

 

「「ヒロイン同士のVSイベントは必見なのに〜」」

 

突然降って湧いたBとCを地平線の彼方へと蹴り飛ばす。

「はぁはぁ・・・・・・」

朝あれだけ香里に吹き飛ばされたくせにもう復活しているとは・・・・。

恐るべしBとC。

「世の中には科学で解明できない謎もあるのだよ、同志よ」

「そうの通り。我等も日夜その謎を解明する為の努力を惜しまず頑張っているのだよ」

・・・・・・・・・・・・不死身か、おまえらは・・・・。

「あの〜祐一さん、舞も待ってますからそろそろ行きませんか?」

「そ、そうだね。あいつを待たせたら恐ろしいことになりそうだしなっ。」

うむ、よく考えたらこんなのに付き合っている場合ではなかった。

とりあえずは名雪と香里(と、むつきママ)の視線から逃げることが先決だ。

後が怖い気もするけど、この空気には耐えられないって、マジで。

「じゃ、また後でな。二人とも!・・・・・・ぐぇ」

佐祐理さんの背中を押して教室を出て行こうとすると不意に襟元を掴まれる。

咳き込みながら振り向くと怖いくらいの笑顔でむつきママが立っていた。

「相沢くん?お話がありますから放課後、生徒指導室までか・な・ら・ず来てくださいね

・・・・・・・顔は笑っている・・・・・・・・・・だが、声が笑っていなかった。

「・・・・・・・・・・・はい」

 

 

 

 

 

 

 

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                                UP Date 10/23

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すいません。次回はもう少し早く更新するので許してください(汗)