GSと魔法使い(仮)
嵐のプレリュード!! その5
麻帆良学園本校高等部のとある教室にて横島は思案していた。
担任の教師に促されて教室に入り、自己紹介をした。そのついでにクラスの女子を観察して、可愛い子がいないかチェックしたら、見知った顔の少女があり驚いた。―――ちなみに横島主観でその子がクラス内の女子で一番レベルが高かった。
学園の魔法使い達と顔合わせしたときに自分のことを張り飛ばしたあの少女は横島と目が合うと気まずそうな顔をして目を逸らす。
(うーむ、あん時は暗くてよくわからんかったが、こうして明るい所で見ると確かにどっかで見たことあるよなぁ?)
少女の言葉を思い出して、考える。前に会った事があるようだがこれだけの美少女なら自分が忘れるはずがない。いや、前に会った時と今で少女の外見が変わりすぎていてわからなかったとしたら?
あの時に食らった平手打ちにもどこか覚えがあるような……。
「あー、じゃあ、横島君の席はあそこの空いてる席、中村君の隣になるからね」
「あ、はい」
喉元まで答えが出かかったところで担任である弐集院光に声をかけられ、思考を中断する。
ちなみにこの弐集院と言う教師は、一見、丸々とした体型に人畜無害な顔をしているがれっきとした魔法先生である。有事の際にはあらかじめ裏の事情を知っている者が担任であるほうが融通が効く、というのが横島がこの2−Bに編入される理由の一つでもある。
「中村達也だ、よろしくな」
「あー、こっちこそ」
横島が席に着くと隣の席の男が手を差し出してくる。
男と握手しても横島的にはまったく嬉しくないのだが、無下にそれを振り払うわけにもいかないので渋々とそれを握り返す。
「ちなみに横島クンはこの年で事務所を持っているGSだ。霊障か何かあったら横島クンに相談するように」
「ほう?」
弐集院の一言でガラリとクラスの雰囲気が変わる。
「あ、あれ?」
男女共にひそひそと騒ぎ出し、あからさまに横島に対する視線が変わっていた。
世間一般でオカルトが認識されていると言っても、直接ソレに関わるものはそう多くは無い。
GSと言う特殊な職業にクラスメイト達が好奇心を掻きたてられるのも仕方の無いことだろう。
が、横島にとって問題なのは目の前の男、中村達也。さっきまでは人の良さそうな顔だったのに今は不敵な笑みを浮かべこちらを見ている。さらにこの男の他にも同じように突き刺すような視線を感じる。
「え?え?あれ?」
視線を辿れば中村の他にも三名の男が挑むような目つきでこちらを見ている。
一人一人と目が会う度にニヤリと不敵な笑みを返される。
あの目つきには覚えがある。横島の経験が告げている。こいつらはどこぞのバトルジャンキーと同じ人種だと。
クックックと楽しげに笑う四人の顔を見て横島は確信した。
こいつらは普通じゃない。故に四人とも同じクラスに一まとめにされたに違いない、と。
ネギのクラス、3−Aと同じようにクセのある生徒はでき得る限り一つに固めようというのがこの学園の方針なのかもしれない。
この三人が今後自分に対してどう接してくるかが簡単に予想できてしまい、横島は一気に滅入ってきた。
「GSの転校生か。手合わせが楽しみだな」
「こんなクラスメイトは嫌だ――っ!!」
類は友を呼ぶ。変人の周りには奇人変人が集まるものなのだろう。
朝のホームルームが終了して休み時間になると、瞬く間に横島はクラスメイトに囲まれていた。転校初日の転校生ならば誰もが通る道である。
おまけに横島は只の転校生でなく、GSなのだ。注目を浴びるのも無理は無いだろう。
が、その中から例の少女が進み出てきて横島の手をガシッと掴む。
「へ?」
「ごめんな、皆。ちょーっと二人で話したいことあるから」
そう言い残すと少女は驚くクラスメイト達を後に横島を教室の外へと引っ張っていく。
「え、えーと?」
「黙ってついてくるっ!!」
「は、はいっ!」
少女に一喝され、反射的に返事をしてしまう横島。女性に強気に出られると反射的に従ってしまう、丁稚時代に染み付いた悲しい性である。
人気のない階段の踊り場まで引っ張ってこられ、少女と面と向かい合う。
何故か少女は睨むような視線を向けてくるので横島としては、またなんかやらかしてしまったんかなー、と内心かなりびびっていた。
少女はすー、はーっと深呼吸を繰り返し、やがて意を決したように口を開く。
「ごめんっ」
「あぁっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ……って、え?」
てっきり怒られると思い込んで反射的に謝ってみたものの、少女の予想外の言葉に目を丸くする。
恐る恐る少女の様子を伺うと困ったような顔をして手をもじもじさせていた。
「あのときはつい、頭に血昇ってしもーて……、その、久しぶりやから横島がわからんくても無理ないのに」
しどろもどろになって謝る少女の姿に既視感を感じる。過去にもこんな風に困ったように謝る少女がいたはずだ。
「あ……!おまえ、ひょっとして夏子か!?」
記憶の中にある少女と目の前の少女の姿が重なる。
「思い出したんっ!?」
横島の言葉にパァッと顔を輝かせる少女。
少女の名は藍川夏子。横島とは同じ小学校に通っていた幼馴染である。そして当時の横島が密かに想いを寄せていた相手でもある。
「おー、どうりで見覚えがあるはずだ。えーと、俺が引っ越したのは小学生んときだから五年ぶりか?」
「そやな。あん時からもうそんなに経つんか……」
「ん?ちょっと待て。え?なに、お前、魔法使いなの?」
久しぶりに再会した幼馴染が実は魔法使い。昔の親友がアイドルになっていたこと以上にびっくりだ。
「そやっ!魔法少女リリカル夏子とは私のことやっ」
バンっと両手に腰を当てて、見栄を張る夏子。
「……言ってて恥ずかしくないか?」
「……」
沈黙の間。
みるみるうちに夏子の顔が朱に染まっていく。
「素で返すなぁっ!そこは突っ込みで返すとこやろがっ!」
「へぶっ!」
流石に素で返されると恥ずかしかったらしい。何処からか取り出したハリセンで横島をどつく夏子。
「見た目はともかく性格は大して変わっとらんなー、おまえ」
どつかれた頭をさすりながらしみじみと呟く横島。美神のソレとは違いちゃんと手加減された一撃なのでダメージは大したことないようだ。
「そーゆー横島かて、全然変わってないやん。女好きは昔のまま……いや、もっと酷くなったんちゃうん?」
「わ、わはははっ」
自分のスケベは自覚しているだけに横島としては笑って誤魔化すしかない。
と、そこで授業の開始を告げるチャイムが鳴り響く。
「あかん。教室に戻らんと。したら詳しい話はまた放課後にな、また後で」
「ああ。また後でなー」
にこやかに手を振りながら駆け出した夏子をその場で見送る。
「……って、置いてくなぁ――っ!俺も同じ教室やろがっ!」
「あはは。えぇ突っ込みや。調子出てきたやん」
「やかましいっ!」
夏子の呼び出しの件もあり、横島の転校初日の休み時間はクラスメイトからの質問攻めに終始することになる。
夏子としては、横島の奇怪な性格を知悉しているため、クラスに溶け込めるか若干の不安があったのだが、それは杞憂に終わる。
問題がないわけではないが、基本的に横島は人当たりの良い性格である。愛すべきバカとでも言うべきか。麻帆良の生徒も変わり者が多いだけにあっさりとたった一日で充分クラスに馴染んでいた。
一定以上の美少女に声をかけては即撃墜され泣き崩れていたのもお約束である。
小学生当時、スカートめくりを繰り返しては終わりの会で吊るし上げを食らっていた横島を彷彿させるその一連の行動を、夏子は相変わらずやなー、と生暖かい視線でそれを見守っていた。
再会したときこそ、その行為に腹を立てたりもしたが、横島らしいと納得してしまったようである。無論、横島の行動の結果が全て途労に終わることも含めて、である。
もしも横島の行動の結果が別のものであるならば、もう少し違った反応を見せたかもしれない。
余談だが横島が警戒していたクラスメイト、中村達也、豪徳寺薫、山下慶一、大豪院ポチの四人は意外にも自己紹介をしただけでそれ以上のことは特に無かった。
が、四人の目があからさまに「オラ、つえぇ奴と戦えると思うとワクワクすっぞ」と、如実に語っていたので油断はできない。
こうして横島の麻帆良学校生活初日は終了したのである。
「と、いうわけで私が魔法の勉強を始めたのは中学の時、麻帆良に引っ越してきてからなんよ」
放課後、学園長によって呼び出されている横島はクラスメイト達の誘いを断って、夏子を道案内として学園長室に向かっていた。
本来は担任である弐集院が学園長室まで道案内する予定だったのだが、そこを夏子が申し出て、今に至る。
休み時間ではクラスメイトの質問攻めにあっていたせいでロクに話のできなかった分、二人の話は盛り上がっていた。話の内容はお互いの今までの経過報告が主であるが。
「夏子の両親が魔法使いねぇ。うーむ、魔法を使っているとこが全然想像できん」
小学生の頃、夏子の両親とは幾度と無く、顔を合わせていたが、何処にでもいる普通の夫婦で魔法やオカルトと言ったものには無縁の存在だと思っていた。
これに関しては夏子も同意らしく、苦笑しながらも頷く。
「私かてびっくりしたわ。いきなり魔法使いなんですー、言われても何寝言言ってるん思うたわ」
夏子の話によると、小学生当時までは彼女も魔法のことは一切知らずに育ってきたらしい。が、夏子の母が実は関東魔法協会に所属する魔法使いで、中学入学と同時に麻帆良へ引っ越し、その際に夏子にも魔法のことを明かし、夏子も魔法使いへの道を踏み出すことになった、ということだ。
ちなみに父親さんのほうは関西呪術協会の所属で、母親とは使う別系統の魔法使いらしい。
「関西呪術協会?GS協会となんか関係あるんか?」
呪術と聞いて、横島が思い浮かべるのは黒魔術を得意とするエミだ。一般的にGSと魔法使いは関わりを持たないと聞いているが何か関係があるのかもしれないと、横島は考えたのだが、
「さぁ?私もあんま詳しいことは知らないんよ」
麻帆良で西洋式魔術を学んでいる夏子は日本の陰陽術関連にはさっぱり知識を持っておらず、横島の疑問に答えることはできなかった。
「まぁでも、なんや関東と関西は仲悪いつーのは聞いたけど」
仲違いをしている組織同士に所属してる両親が結婚するまでには多大な苦労をしたらしい、と夏子は語る。
と、そうこう話しているうちに学園長室に到着する。
「ほう、夏子くんと一緒か。どうやら仲直りできたようじゃのう」
学園長室に二人が入って、学園長が真っ先に発した言葉がそれであった。
「あはは、まぁ、なんとか」
横島と夏子はそれに対して苦笑するしかない。夏子が横島をノックアウトする場面を間近に見られているだけに。
「さて、こうして横島クンを呼び出したのは他でもない。GSである君に対して仕事の依頼じゃ」
本当はあの晩に話すつもりじゃったんじゃがのう、という学園長の呟きに、話ができなかった原因である夏子はサッと目を逸らす。
そんな夏子の様子を微笑ましく思いながらも、
「さて依頼の内容じゃが……」
「あ、えーと、私は席外したほうがいいでしょうか?」
横島が学園長からどんな依頼を受けるのか興味はあるが、GSの仕事に関することならば夏子は部外者に過ぎない。
ならばこのまま話を聞くのはまずいのではないかと思い、聞いてみたのだが、
「ふぉっふぉっふぉ、別に聞かれて困る話でもないわい。無闇やたらに口外したりせねば別に構わんよ」
と、学園長のお墨付きが出たので遠慮なく一緒に話を聞くことにする。
「横島クンには修学旅行に行く木乃香の護衛を頼みたいんじゃ」
「木乃香ちゃんの護衛?修学旅行で?」
たかだか中学生の修学旅行で何故護衛が必要なのか?横島が首を傾げるのも無理は無い。
「うむ、一から事情を説明しよう」
曰く、修学旅行の行き先である京都の関西呪術協会と麻帆良学園を本拠地とする関東魔法協会。二つの組織は古くから仲違いをしている、と。
その辺りは先ほど夏子から聞いたばかりなのでふんふん、と頷く横島。
「じゃが、わしとしてはいい加減喧嘩するのはやめて東と西で仲良くしたいんじゃよ」
そこで今回の修学旅行を機に親書を持たせたネギを西への親善大使として派遣することになったらしい。
「なんで、そんな重要な役をガキンチョにやらせるんです?他にも魔法先生がいるのにわざわざ子供にやらせることないでしょーに」
「ネギ君は魔法使いの間じゃ有名人やからな」
横島のもっともな疑問に口を開いたのは夏子。
「夏子くんの言うとおりじゃ。ネギ君の父親は魔法使いにとって伝説的な英雄でな。その息子であるネギ君が大使を務めることに大きな意味があるんじゃよ」
ただの一魔法使いよりも英雄の息子と言う看板を背負ったネギがこの任を達することで他の魔法使いに対して箔が付く、ということなのだ。
「よーするに魔法使いの世界もハッタリが重要ってことすね?」
「う、うむ。まぁ、そういうことじゃな」
「見も蓋もない言い方やなぁ……」
忌憚の無い横島の言葉に苦笑する二人。普通はもう少し気の利いた言葉を使うものだが、美神の元にいた横島にそれを期待するのは酷だろう。
「まぁ、それはそれとして長年対立してきた組織だけに和平を快く思わない者もおる」
「なるほど。そいつらが親書を届ける邪魔をしてくるかもしれないってわけですか」
横島に言葉に頷く学園長。
「うむ。とはいえ、彼らも魔法使いである以上、一般人には姿をさらすわけにはいかない。生徒たちや一般人のいる中で実際に行動を起こす者がいる可能性は少ないと思っておったんじゃがのう。ちと状況が変わってしまったんじゃ」
「どーいうことすか?」
「スバリ原因は君じゃ、横島クン」
「へっ、俺っすか?」
予想もしていなかった学園長の言葉に唖然とする横島。
「こないだの君とエヴァの戦闘のことが関西呪術協会のスパイに漏れてしまったようでな。あれだけ派手な魔法戦闘は近頃めっきり起こっておらん。それ故にあちらさんはわしらが今回の件で何か良からぬことを企んでおるんじゃないかと色々邪推してしまったらしいんじゃ」
「げ」
要するに横島とエヴァが桁外れな大きな魔力で盛大に暴れまわったことが関西呪術協会に漏れ、横島とエヴァ二人分の魔力の大きさにびびった向こうが和解と見せかけて何か仕掛けてくるんじゃないかと警戒して、和平に反対する者達の一部が独断で動き始めたらしい。
自分の行動が思わぬところで大事に発展してることに横島の顔が次第に青褪めていく。が、それに気付いた学園長は
「別の横島クンのやったことを非難しとるわけではないぞ。あれは不可抗力じゃ。気にせんでもええわい」
「不可抗力……?」
その学園長の言葉に、緊張していた横島が一気に脱力し
「そっすよねー。不可抗力なんだから別の俺のせいじゃないですよね。あー、よかった」
やれやれと、心の底から安堵のため息をつく。
「いや、そこまで割り切られるととっても複雑なんじゃが……」
「はっはっは、細かいことは気にしちゃいけませんよ。ささ、話の続きをどうぞ」
全く悪びれた様子の無くなった横島に先ほどの言葉を撤回したい気分になった学園長である。
「まぁ、それはともかくとしてじゃ。実際に向こうが動く場合、その標的となるのはネギ君が持つ親書とわしの孫である木乃香に間違いあるまい」
ようやく話が最初の疑問点に戻ってきたので横島も表情を正して、話の続きを聞く。親書はともかくとして、木乃香が関わるとなると安易に聞き流すわけにはいかない。
木乃香本人は彼女の両親の意向で魔法のことを一切知らされずに育ってきた。だが、何も知らぬその身には極東最強と言っても過言ではないほど強大な魔力を潜在的に秘めている。その魔力は、伝説的な英雄であるナギ・スプリングフィールドすら上回ると言われている。
その潜在能力と併せて関東魔法協会の孫ともなれば、その身を狙う輩は後を絶たない。それゆえに本人の預かり知らぬところで、刹那を始めとして常日頃から護衛を付けていると学園長は語る。
京都出身の木乃香が麻帆良学園で過ごしているのは強力な結界が存在する麻帆良学園が一番安全だというのも理由の一つだ。
とはいえ麻帆良学園の外であっても、本来ならば護衛は刹那一人で十分事足りる。
だが、京都は関西術協会の本拠地である。本格的に木乃香が狙われた場合、刹那一人の手に負えない可能性も十分にある。
「かと言っていたずらにこちらが動員する人員を増やしては不用意に向こうを刺激するだけじゃ。そこで魔法使いではなくGSである君の力を借りたいというわけじゃ」
GSである横島ならば学園の魔法使いよりも向こうを刺激しないで済む、と学園長は判断したようだ。
「そーゆー理由なら引き受けないわけにはいきませんね。その依頼引き受けましょう」
既に木乃香とは見知った仲である。彼の守備範囲ではないが、可愛い美少女の危機となれば見過ごせる横島ではない。
「うむ、修学旅行は明日からじゃ。よろしく頼むぞい」
「うぃっす。このGS横島にお任せください!」
ドンと胸を叩いて依頼を引き受ける横島。だが、そこにおずおずと手を上げて発言する人物が一人。
「あのー、学園長?私達高等部も明日から修学旅行ですよ?」
「え?」
夏子の発言にぴしりと固まる横島。ギギギ、とゆっくりその視線を学園長に向ける。
その視線を受けた学園長はうむ、と鷹揚に頷き、
「横島くんには本当に申し訳ないと思うが、これも仕事じゃ。我慢してくれい」
「なんですとーっ!?」
横島の絶叫が響き渡った。
「うぐぐぐ、俺の修学旅行……高校生活に一度きりの修学旅行があぁぁぁっ!!」
頭を抱えて涙を流しながら地べたを転げまわる横島。だが、一度引き受けた仕事を今更断るわけにもいかないし、木乃香のことを見捨てることもできない。
修学旅行と木乃香の安全。どちらが大事かなどは比べるべくもない。
「横島……」
「むぅ……」
予想以上の横島の落ち込みっぷりに夏子も学園長も動揺を隠せない。
夏子は夏子で小学生当時に想いを寄せていた横島と再会できたことに大きな喜びを感じていた。
流石に数年たった今現在も同じ気持ちを横島に抱いているとは言えないが、それでも幼馴染である彼と一緒に修学旅行と言う一大イベントを過ごせないことに対して落胆の気持ちも大きかった。
学園長も関東魔法協会の長であると同時に教育者の一人でもある。それ故にここまで修学旅行を楽しみにしていた横島に対して大きく心を痛めていた。
できることならば他の者と代わらせてやりたいが、彼以上に適任者がいないのも事実。せめてもの償いとして今後は彼に対してできる限りの便宜を図ろうと決意した。
が、二人のそんな想いも次の瞬間に一気に冷めることになる。
「修学旅行と言えば温泉!温泉と言えば女湯!俺の秘湯パラダイスがぁぁっ!!覗きこそが修学旅行の醍醐味なのにぃぃっ!!」
転げまわる横島を余所に沈黙する二人。
すっと目を細めた夏子が視線で学園長に問いかける
コレ、ダマラセテイイデスカ?
学園長は黙して頷く。
夏子は静かに息を吸い込み、魔法の詠唱を開始する。
「魔法の射手 連弾・雷の37矢!!」
「ぎゃーっ!?」
改心の一撃!横島は動けなくなった!
「それじゃ、これを横島クンに渡してくれい。木乃香たちのスケジュールや新幹線のチケットなどが入っとる」
「わかりました。それでは失礼しますー」
学園長から渡された荷物を受け取り、一礼してから退室する夏子。
荷物を持っている逆の手にピクピクと痙攣する横島を引き摺りながら。
学園長室は女子中等部に存在する。ゆえに中等部の生徒に、高等部の男子を引き摺りながら歩く女子生徒が目撃されるが、とあるクラスの生徒を除いてそれに関わろうとする者は存在しなかった。
UP DATE 08/8/14
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つーわけで皆様の予想通り、少女の正体は夏子でした。
次回から修学旅行!・・・・・・と、行きたかったんだけど後一話挟むことになりそうです。話が進まんorz
>人類の裏切り者はさすがにやばいんじゃ・・
えーと、どのあたりがでせう?
>誕生日会&歓迎会の続き、アキラの出番が多いのはいい感じですねぇ。
>あそこでお仕置きタイム発動は、逆に3-A連中にとっては煽るネタになったりして…
>その他にも見所多々。期待も大きいですが、期待通り、いやそれ以上で大満足です。
とはいえアキラって物凄く動かしにくいんですよ(苦笑
戦闘にも絡んでないんで修学旅行編は割を食うキャラになるかも…。
ご期待に沿えるよう頑張りたいと思います。
>平行世界設定じゃないネギまとのクロス作品は初めて読みました。
>横島君の『良さ』をおぼろげながら感じている木乃香ちゃんとアキラちゃん、横島君に接点を感じた刹那ちゃんとの間にどんな絆がつむがれてゆくのか、この先の楽しみです。
同一世界設定のクロスは大御所があるので探せばすぐ見つかると思いますよん。
>横島がフッ切れすぎてる。違和感あり。
何に対してのことでしょーか?原作の横島を見る限り、長々と何か落ち込んだり、うじうじしてる描写特に見当たらんのですが。
>アキラちゃん頑張る。
>美空って厄介事避けるの上手そうな気が。
>しかし大戦ネタが本人の告白以外で直撃するクロス物ってレアですよね。
>ところで刹那嬢の正体に気づいてないんでしょうか>横島
>そろそろ修学旅行編でしょうか。
や、美空は案外避け切れてないですよwアキラのメイン回とか神父に化けたときなんかモロに被害をw
横島はなんだかんだでTVに出てますからねぇ。気付く人は気付くかとw
刹那の事に関しては気付いてないです。戦闘してるわけでもないし、ネギま原作見る限りでは羽根出してるとき以外は普通の人間とそう大差ないようなので。
GSのほうでも妖怪でも魔族でも隠していれば、見鬼くんでも使わないとあまり区別ついてないようですから。
一応この作品では戦闘や優れた霊視しない限り正体を隠した妖怪や魔族の類は簡単に見分けられません。
修学旅行は次回から・・・と、行きたかったんですけど後一話挟むことになりそうです。
>なかなか面白かったですよ。もうちょっと独自色がでるとさらに良いと思いますが、これからも期待しています。がんばってください。
>アキラ嬢の行動が不自然かな、とも思いましたがこんな行動を〜
ういーっす。独自色のほうは今後の展開で頑張ってきます。
アキラは原作のエピソードやプロフを見る限り、あんなものかな、と。他人の悪口が嫌いとありましたし。度が過ぎるときっちりお仕置きするキャラだと思ってますので。
原作でもあんまり喋らなかったりするのでイマイチキャラを把握し辛いのが難点ですが・・・。
>もっともっと横島をいじってやってください。
アイアイサー
>プロローグからいっきに読ませてもらいました。GS×ネギまでは異世界ものが多いのですが、同じ世界でのSSはあまりないのですが、結構良くできた設定だと思います。
>この手の場合、大抵、横島が最強キャラだったりするのですが、ここでは、横島らしく表現されているのでGJです。
>ところで、「嵐のプレリュード!!その1」の最後に出てきた少女は横島の小学生の級友の夏子でしょうか?
まぁ、設定のほうはまだ曖昧な表現してる部分も多いのですが。今後も自分なりに考えて不自然にならない程度に小出しにしていく予定です。
文珠が万能すぎるので一歩間違えば最強キャラに即転落しそうなのでそこは気を使いたいと思います…それなりに見せ場を作りつつ、しっかりオチをつける、と。
少女の正体は今回の話のとおりです。
>面白いっス! テンポよく読めていい感じっス!今後大期待。wktkしながら待ってます
>ついでに、アキラ嬢の出番が増えると嬉しいな〜w
ありがとうございますー。アキラの出番は自分も増やしたいのですが、無口だったり戦闘に絡めないので色々先行き不安です。orz
>キャラクターがホントに活き活きしてて、良い仕事してますね〜
ありがとうございますー。作者が意図せずに勝手に動くようになれば理想な感じですね。