GS横島〜Endless Happy Time!!〜

 

インディペンデンスデイ!! その3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴーストスイーパー資格試験。

 毎回千を越える数の受験者がそれに挑むが合格できるのは最大でもたった32人という超難関である。

 試験は大きく二段階に分けられ、一次試験である霊力測定において受験者は一気に128名までに絞り込まれる。

 そして二次試験は一次試験合格者同士によるトーナメント形式の試合が行われる。

 このトーナメントで二回戦まで勝ち抜くことにより晴れて合格となる。

 だが、合格してもトーナメントはそのまま続行され、資格取得後の棄権も認められていない。

 いかなる理由においても棄権してしまった場合には、即座に得た資格を剥奪されるとう非常に厳しいものである。

 それだけに多くの受験者達は試験が始まる前から緊張感にあふれた空気を作り出していた。

 何しろ「試合中に死亡しても事故として扱われるだけだから気にするな」と笑顔で審判が語るほど危険の度合いも高いのである。

 

「どいつもこいつも殺気だってるなぁ」

「へー、これ全部受験者なの?」

「いや、一般の観客や関係者もけっこういるから。全部が全部ってわけじゃないよ」

 そんな緊迫した空気など無縁なのが午前中に学校を終えて見物にやってきた横島、愛子、ピートの三人組である。

 一次試験は午前中で終了するのだが、会場にはまだ多くの人間が残っている。

 ピートが言ったように一般の観客や、関係者に加え、一次試験を落ちた者達も後学のために見物していく者がいる為だ。

「と、いうかなんでお前がいるんだ、愛子?」

「クラスメイトが出てるんだもの。応援に行くのも青春じゃない?」

 と、ある意味予想通りの答えが返ってきた。

 横島とピートがここにいるのは雪之丞とタイガーの二人が今回の試験に参加しているためである。

 もっとも横島は単なる見物、ピートは後学のための勉強、とそれぞれに意味合いは違うのだが。

「あ、横島さーん!」

 声のほうを振り向けば、そこには六道女学院の制服に身を包んだおキヌが駆け寄ってくる。

「あれ、弓さんと一文字さんたちは?一緒に来るって言ってなかったけ?」

「弓さんは雪之丞さん、一文字さんはタイガーさんのとこに行ってますよ。何でもお昼を一緒に食べるって言ってましたよ」

「……雪之丞と弓さん、タイガーが一文字さんと?」

「はい」

 

 

 沈黙。

 

 

「な〜ん〜だ〜と〜っ!」

 嫉妬の炎に身をやつした横島が吼える。

「この俺を差し置いてあいつ等が美女と二人っきりで昼飯?そんなのは許せーん!!邪魔しちゃるーっ!」

「や、やめましょうよっ!雪之丞達だって唯一のチャンスなんですから見逃してあげましょーよっ!」

 即座に雪之丞やタイガーを探し出そうとする横島をピートが羽交い絞めにして抑える。

 ピート自身、いつぞやのクリスマスの時に存在を忘れ去られた時のことを思い出すと忸怩たる思いがある。

 だが、それでも普段から女気の無い生活をしているあの二人をのことを思うと流石にここで邪魔をするのは酷に思える。

 あの二人が女性と縁を持つ機会などそうそうないのだから。

「放せー、ピートっ!モテる奴は敵だーっ!弓さんも一文字さんも俺んだーっ!!」

 自分にはルシオラがいるということはこの際、棚上げしておく。例え彼女がいようともそうそう会える距離ではないし、あのサイズではロクにイチャつくこともできないのだから。

 いや、むしろ彼女がいるにも関わらず何もできないとい状況が余計に彼を追い込んでいるのかもしれない。

 そして横島は気付かない。自らの失言を。如何に霊能が成長しようとも根本的に迂闊な性格はそうそう変わらない。

「俺の?」

「――っは!?」

 気付いたときにはもう遅い。背後には笑顔のまま凄まじい怒気を纏ったおキヌが迫っていたのだから。

 愛子は机の下に隠れ、ガタガタ震えている。

 ピートも既に横島を解放し、二人から距離を取って冷や汗を掻いている。

「あ、いやっ、おキヌちゃん、今のは言葉のあやで……っ!」

「横島さんはこっちへどーぞ。ちゃんと横島さんの分のお弁当も作ってありますから……っ」

「あ、いたっ痛いっ!耳引っ張らないでっ!痛い、痛いってばっ!お、おキヌちゃーんっ!」

 笑顔のままのおキヌに横島が引きずられていくのは異様な光景だったが、それに声をかけられる勇者はいなかった。

「あーゆーのも青春って言うのかしらねぇ」

 机の影から顔を出して呟く愛子にピートは苦笑で答えるしかなかった。

 昼食を終えた彼らが雪之丞らと合流したのはそれから一時間後のことだった

 

 

 

 

 

 

 ちなみに当然のように二人とも一次試験はクリアしている。

 雪之丞はもちろん、タイガーとて前回の試験では二回戦で負けてしまったが、その実力は一線級のGSと比較してもそう劣るものではないのだ。

 彼の周りの面子が濃すぎてキャラが薄いだけである。

「つーか、見てても面白くもなんともないなー」

 既に第一試合が開始され、横島たちは観客席から集団で試合を観戦していた。

 前回と違い、観客席から眺める試合は至極退屈なものに見えた。

 二次試験であるトーナメントの組み合わせはラプラスのダイスと呼ばれる霊的アイテムを用いて行われる。

 あらゆる霊的干渉を受け付けない運命を示すサイコロを用いるのは第一に霊的手段による不正を防ぐため。

 何しろ、黒魔術やら呪術やらなんでもこいのGSの試験なのだ。何の霊的防御もない普通のサイコロを使ったりすれば、自分にとって都合の良いように組み合わせを操作することなどある程度の力を持つものには容易に可能になってしまうのだ。

 そして最大の理由はこのダイスによって決められた組み合わせはそのまま参加者の幸運を示すものになるからだ。

 GSにとって運の強さというのは霊的能力と同じくらい重要視されるステータスである。

 常に死と隣り合わせの職業であるGS。たとえどんなに実力があっても運が無ければちょっとしたミスや事故で命を落とすことは珍しくない。

 逆に能力が低かったとしても強運さえ持ち合わせていればその場を切り抜けることも多々ある。

 つまり、このトーナメントは運と実力を兼ね備えた者のみが勝ち抜ける仕組みになっているのだ。

 ……極稀に前回の横島のように運だけで勝ち抜いてしまう者もいるのだが。

 そういった特性を持つがゆえに、一・二回戦で実力者同士が対戦することは稀であり、基本的に一方的な試合が多くなってしまうのだ。

 つい先ほども雪之丞の試合が行われたが、魔装術を使うことなく、一撃で試合を決めていた。

 余談だが、試合開始前に前回同様に解説を勤める厄珍の宣伝が開始され、実況に沈黙させられていたが、誰もそれを気にかけるものはいない。

「まぁ、確かに一回戦レベルではあまり参考になりませんけど……少しだらけすぎではありませんか?」

 欠伸を掻いていた横島をかおりがジロリと睨む。

「そもそもあなたのような人がGS資格を持っているということがまず信じられませんわ」

「あー、それは私も思った」

 かおりの言葉に云々と頷く魔理。

 彼女達からしれみれば横島がGSの資格持ちということすら信じがたい存在なのだ。

 クラス別対抗戦やクリスマスパーティの時にも彼女は横島がまともに戦う所を見ていない。

 と、いうか友達を見捨てて逃げたり、校舎の上でラッパを吹いたり色々筆舌に尽くし難い面しか知らないのだから彼女達がそう思うのも当然だ。

 ついでに言えば六道女学院はどんなに実力があっても在学中のGS資格受験を認められていない。

 横島がGSという立場的に自分達より上位にあるということも彼女達からすれば容認し辛いことなのだろう。

「そんなこと言われてもなぁ」

 成り行きと偶然だが、それでも持ってるものは仕方が無い。

「でも、横島さんは本当に凄いですよ。もう独立して自分の事務所を開いちゃうんですから」

「へ?」

「は?」

 横島を擁護するおキヌの発言に目を丸くするかおりと魔理。

「じょ、冗談でしょ!?こんな歩く変態みたいな方が独立なんてっ!?」

「そーだよっ!独立したって一ヶ月も経たないウチに潰れるのがオチだろっ!?」

「ふ、二人とも落ち着いてくださいっ!」

「えらい言われよやな……!」

 二人の容赦遠慮の一切無い言葉に流石の横島もこめかみに青筋を浮かべていた。

「ま、横島クンじゃしょうがないんじゃないの?」

 そしてそんな横島の肩を宥めるようにポンポンと叩く愛子。

「普段が普段ですからねー」

 ピートと愛子も横島の独立の話は初耳だが、かおりたちのように騒いだりしない。以前、美神がオカルトGメンに出向した時、横島が所長代理として十二分にその役目を果たしているのを知っている。普段の言動はアレだが、横島なら独立しても十分にやっていけるだろうと思えるのである。

「にしても横島クンが独立ねぇ」

 出会った当初、いやちょっと前の横島からは想像することすらおこがましい行動に苦笑する愛子。

 初めて会ったときは霊能力も使えないただの一般人だった。それがいつの間にかGS試験に合格していたり、世間を揺るがしたアシュタロス事件を解決した中心人物になったらしい。

 「男子三日会わざれば刮目して見よ」という言葉があるが、自分の知らないところで横島は随分と成長したものだと感慨深く思ってしまう。

「ま、それでも全く凄いと思えないのが横島クンよねー」

 かおりと魔理の口から次々と発せられる罵詈雑言に膝を抱えていじける横島を見て、しみじみと呟く愛子だった。

「何やってんだ、お前ら?」

 観客席に戻ってきた雪之丞が見たのはおキヌに詰め寄るかおりと魔理、いじける横島、それを見て苦笑する愛子とピートの図だった。

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、言ってなかったか?俺は合格したら横島んとこで見習いをやることになってるんだが」

「は?」

 雪之丞の話にまたしても目を丸くするかおり。

 GS試験に合格して発行されるのはあくまで仮免許である。そして正式に本免許を得るためには、本免許を持つGSの元で一定数の除霊を行うこと。そしてそれを監修したGSの許可が必要なのである。

 以前、雪之丞が所属していた白竜会はメドーサの一件で解散してしまった。会長、門下生共々メドーサに石化されものの、小竜姫の手回しによって天界で治療を受け、石化は解かれている。だが、魔族にしてやられたことが公になってしまい、信用と名誉は地に墜ちGS稼業を廃業せざるを得ない状況になってしまったのである。

 GS稼業を廃業した白竜会は石竜会と名を新たにし、一般の格闘道場として新たな門出を切り、そこそこ成功を収めていたのは余談である。

 そんなわけで見習いを行う事務所を探していた雪之丞と、除霊助手が欲しいと思っていた横島(一人で何から何までやろうという気概はこの男には存在しない)は利害が一致し、すんなりと雪之丞の横島除霊事務所勤務が確定したのである。

 と、いうより雪之丞が以前、横島に独立をしないかと尋ねたのは始めからこの成り行きを期待してのことでもあったりする。流石にここまですんなり行くとは雪之丞自身思ってはいなかったが。

「納得いきませんわっ!あんな人の下で見習いなんてっ!」

「いーじゃねーか、見習いすんのは俺なんだしっ!」

 かおりに勢いに後ずさる雪之丞だが、すぐに表情を切り替える。

「それに横島の実力は俺が一番良く知ってる。本気を出したあいつに勝てる奴なんてそうはいねぇよ」

「むむぅっ……」

 きっぱりと断言する雪之丞に言葉をなくすかおり。

 その視線を魔理に向けても、これ以上は抗議するだけ無駄だ、というニュアンスで肩をすくめられてしまう。

 魔理もかおりと同じように横島の実力も人間性も限りなく低評価だ。が、彼をよく知る人物、おキヌや雪之丞はもちろんタイガーからも横島の評価は異常に高いのである。

 横島のことをよく知らない自分達が言っても無駄だと判断したのであろう。

 かおりのほうもこの場で雪之丞を説得するのは不可能と判断し、渋々と引き下がる。

「フフフッ、この場は敗北を認めて差し上げましょう。横島さん。ですが、私にたった今思いついた秘策がありますわっ!近いうちに必ずあなたの化けの皮を剥いで差し上げますっ!」

 ビシッと三流の悪役のごとく横島に指を突きつけるかおり。

 かおりの宣戦布告に横島は「うーん、俺、弓さんに何かしたかなぁ」と悩み、他の者達は何を熱くなってるんだか……と生暖かい目で見守っていた。

 そしてこんなやりとりが展開されている間にタイガーの試合は誰一人注目することなく終了していた。

 

 

 

 

 

 勝利を収めた虎の叫びが響き渡る。

「なんでジャーっ!?」

 強いて言えば南極での戦いでも一人だけ台詞が無かった男のお約束である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、まぁGS試験初日は大した出来事もなく終了し、物語はGS試験本番とも言える二日目に移行するのである。

 

 

 

 

 

 

「うーん、やっぱ主席は雪之丞で決まりだなぁ」

 昨日と同じメンバーで観客席で試合を見物する横島たち。

 ちょうど目の前の試合では拳の一撃で対戦相手を沈める雪之丞の姿があった。

 魔装術を使うまでもなく、瞬時に間合いをつめ、ただの一撃で相手を沈める様は他の受験者と比べることすらおこがましく思える程圧倒的である。。

「はー、やっぱり雪之丞サンって凄いんだなぁ」

「前回の試験でも圧倒的でしたもんねぇ」

「雪之丞の実力ならば当然ですわね」

 雪之丞の試合に感心する魔理、おキヌに対し、何処か誇らしげなかおり。

「まー、アイツにガチで戦って勝てるGSなんて世界で何人もいないだろうしなー」

「えぇ、横島さんの言うとおりですね。ボクでも真っ向勝負では分が悪いかもしれませんね」

 横島の言葉に頷くピートはどこか複雑な面持ちで雪之丞を見ていた。

 以前、GS試験で雪之丞と戦ったとき、当時の二人の力は拮抗していた。勘九朗の横槍が入ったせいでピートは敗北を喫してしまったが、それさえなければヴァンパイアハーフであるピートのほうがスタミナに優れていたため、分があっただろう。

 今はどうだろうか?

 自分も修行や実戦を潜り抜けることで当時より格段に実力を上げている。

 だが、それは雪之丞も同様だ。魔装術を極めた今の雪之丞を相手とした場合、スタミナの分を加味したとしても良くて互角だろうか?

 近いうちに、雪之丞と手合わせしてみようかと考えつつ、隣でカップ麺をすする横島を横目にする。

 音を立てながらカップ麺をすするその姿には雪之丞と違って強者としての威厳も風格もあったものではない。

 その実力を知ってはいても、かおりの主張も無理ないなぁ、と苦笑してしまう。

 彼の身近で最もGSとして成長したのは横島なのは間違いないが、それがまるで外面に現れないのは彼のキャラゆえだろうか。

「ねぇねぇ、横島クン?横島クンの事務所メンバーって雪之丞クンの他にも誰かいるの?」

「ん?いや、今んとこ雪之丞だけだけだけど」

 ずずーっとカップ麺を啜りながら答える横島。

「本当はもう一人ぐらいいると色々楽なんだけどなー」

 何しろ横島はまだ学生の身分である。普通であればGSとして事務所を構えた以上、高校卒業にこだわる必要はないのだが、そうは問屋、もとい横島の母親が許さない。

 留年、もしくは退学なんて事態になったら、あの母親からどんな目に遭わされるか想像もしたくない。

 と、いうことで学校に行く時間を確保しつつ、事務所の仕事をこなしていかなければならない。

 雪之丞もいるので依頼をこなすだけなら二人でどうにかなるのだが、事務所を構えた以上、GS協会に提出する報告書などの書類も作らなければならない。

 事務所と学校の両立。それらを同時にこなすには少々人手が足らないというのが本音である。

 雪之丞は今まで正規の仕事を請け負ったことが少ないので、依頼人とのやりとりはともかく、GS協会提出用の書類作成などはかなり苦手らしい。

 求人でもして誰か事務員を雇いたいところではあるが、高校生を雇い主として認めることができる人間がいるのかどうかはかなり怪しいところだ。

「はー、独立ってのも大変なのねー」

「あー、前に所長代理やったときは基本的に美神さん名義だったからなぁ……いや、待てよ……!」

 と、ため息を吐きかけて、ハッとしたように愛子へ目を走らす。

 そのまま両手でガシっと愛子の手を掴む。

「愛子……」

「……横島クン?」

 何時に無く真剣な表情をした横島に見つめられ、頬を染める愛子。

 突然の横島の行動におキヌとかおり、魔理の三人は興味津々といった感じで注目していた。おキヌはどこか複雑そうな面持ちをしているが。

「お前なら、俺の言いたいことわかってくれるよな?」

「当たり前じゃない。横島クンと私の仲でしょ?わざわざ言葉にするまでもないわよ」

「わかってくれるか…!」

「ええ!横島除霊事務所の事務仕事は任せて頂戴!」
「うむ、給料は弾もう!」

 二人に注目していた六女三人組は盛大にコケた。

「真剣な顔して見詰め合ってると思ったらなんですのっ、その流れはっ!?」

「そーだ、そーだっ!!コントかっ!?あたし等のリアクションがそんなに楽しいかっ!?ええっ!?」

 どうやら六女三人娘には横島が愛子の肩を抱く前の会話は聞こえていなかったらしい。

「え、えーと……何を怒っているのでせう?」

「くすくす、ごめんねー、期待を裏切っちゃって。でも、これも一つの青春よねー」

 横島は二人が何を怒っているのか理解できずに困惑し、愛子はケラケラと笑っていた。

 愛子の全てを見通したように態度にかおりと魔理は二の句が告げず、その一方でおキヌはほっとため息をついていた。すぐに愛子を羨ましそうな視線を向けていたが。

 いかんせん、美神のとこに居候している身では、横島の事務所に遊びに行ったり食事の世話をするのはともかく、頻繁に仕事を手伝ったりするのはやはり問題があるだろう。

「いやー、でもマジで助かるよ。ありがとうな、愛子」

「ま、大事なクラスメイトの頼みだもんね。青春の一環として協力してあげるわよ」

 お給料が出るのも魅力的だしね、と付け加えながら笑う愛子。

 妖怪とはいえ、愛子は愛子で十二分に女子高生ライフを堪能している。とはいえ、一般的な女子高生として遊ぶのにはやはり金は必要だ。

 妖怪である彼女がどこからその資金を調達したのか?

 それは以前、横島が所長代理をしたときに事務所を手伝ったときの給金が元手だったりする。

 商店街に馴染んでいた幽霊だった頃のおキヌの例もあるので、その気になれば妖怪である愛子もバイトぐらいはできるだろうが、横島の事務所で働くほうが色々面倒がなくて良いと考えているだろう。

(ま、片思いの男の子に力を貸してあげるのも青春よねー)

 と、愛子が考えていたのを横島が知る由もない。

 

 

 

「うぅ、せっかく二回戦も勝ち抜いたのに誰も見てくれなかったんですカイノー」

 愛子と横島のやり取りに気を取られ、お約束のようにタイガーの試合は誰も見てはいなかった。

 二回戦を勝ち抜いたことでGS資格を勝ち取ったタイガーではあるが、三回戦は雪之丞との対戦だ。

 大方の予想通り、雪之丞の勝利となったが、彼に魔装術を使わせるとこまで追い込んだのだ。前衛タイプではないタイガーにしては大健闘と言えよう。

 かくして、今回のGS試験は雪之丞が主席となることで幕を閉じた。

 横島除霊事務所開業の一日前の出来事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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UP DATE 08/09/5

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>除霊物件を一人でやらせて進呈ってのはそこそこ見かけますが
>やっぱり美神らしいんですよね、それ。そしてシロは…まあこんなものかと。
>今回もドッグフードと引き換えな感もしなくもないし…
>おキヌちゃんの見せ場が増えることを期待しつつ、今回はこの辺で。
おキヌちゃんの見せ場はもうちょい先になりそうですねー。シロのほうが先に山場が来るかも。

>せんせぃ!狐がっ!狐成分が足りんとですっ!
>ルシ派SSなのは百も承知で贅沢を言ってみる。
狐分は次回かその次くらいじゃないかなー、と。

>ルシオラの復活フラグが立ってて満点意外にないしょ
でもあと数話分ルシオラの出番がなさそうなのがなんとも。いや、中盤にはしっかりと出しますよ?