スーパーロボット大戦 MO

 

 

 

 

 

新西暦と呼ばれる時代。

 

人類が宇宙へ本格的に進出して2世紀近くが過ぎていたが、人々の生活そのものは21世紀初頭とさほど変わらない時代。

その理由は、落下した2つの隕石による被害と混乱のため、人類の進歩が一時的に停止したからであった。

 

そして新西暦179年。

3つ目の隕石”メテオ3”が、南太平洋マーケサズ諸島沖に落下した。

 

地球連邦政府の調査団による調査の結果、その隕石は人工物であることが判明。

そこには人類にとってまったく未知の物質と技術の情報が封印されていた。

 

それらはEOTと称され、”EOT特別審議会”と”EOTI機関”による厳重な除法管理の下、調査が進められた。

 

そして、EOTI機関の代表者であるビアン・ゾルダーク博士は、研究結果から地球外知的生命体による
侵略の危機を地球連邦政府や地球連邦軍に示唆・・・
それを受けて人型機動兵器、通称”パーソナルトルーパー”の開発が開始された・・・・・。

 

その間に地球圏は大きく二つの勢力に分かれていた。

一つは地球圏を統合している地球連邦政府。もう一つは宇宙に浮かぶスペースコロニー群である。

本来スペースコロニーは地球連邦政府の管轄下だったのだが、長い年月を経てその数が増え、宇宙植民地としての意味合いが薄れつつあった。

そして奇しくもメテオ3が落下した年。

地球から最も遠い所にあるコロニー群サイド3が「ジオン公国」を名乗り地球連邦へと独立戦争を挑んだ。

後に一年戦争と呼ばれたこの戦いをきっかけとし、人類はグリプス戦役、ネオジオンの反乱という戦争を繰り返していた。

そしてネオジオンの反乱がエゥーゴの勝利によって終結し2年の月日が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

第1話
「Xの名を持つガンダム」

 

 

 

――新西暦191年 7月

 

 

俺は澄空学園3年、天野俊一。

2ヵ月後に控えた学園祭の買出しに商店街まで来たまではいいのだが・・・・・。

「・・・・・かったりぃ」

真夏の炎天下。俺の両手には大量の荷物。激しくやってられない。

「ハァ・・・まーたそんなこと言って。文句言ってもしょーがないんだからさっさと運ぶ!」

そんな俺の呟きを聞いて一緒に買出しにきたクラスメイトの桧月彩花に怒られる。

「・・・・・・へいへい」

ちなみに桧月の手には小さなビニール袋が一つだけ。

俺のほうが多く持つのはまだしも、もう少し分担してくれても良いような気がするのは気のせいですか?

男としての小さな矜持から、そんなことは間違っても口に出さないが。

「智也たちは今頃大会か・・・・・・」

「ばーにんぐPTっていうんだっけ?」

「そ。藤川で地区決勝だとさ。俺も今日買出しじゃなければなぁ・・・・・・」

バーニングPTとはいま日本中で大ブームのアーケードゲームのことだ。

密閉型コックピット筐体のロボット対戦シミュレーターで、過剰ともいえるリアルな操作と臨場感が人気の秘密だ。

無論、その人気は俺たちの中でも例外ではなく悪友の稲穂信や桧月の幼馴染である三上智也、同じアパートに住む伊波健ら3人と今日の大会に備えて連日ゲーセンで腕を磨いていたのだが・・・・・。

「ハイハイ。済んだことは仕方ないんだからいーかげん諦めましょう」

「わーかってるって」

クラスでのクジに負けてこんなとこにいるわけだ。ついてない。

ま、考え方を変えれば桧月と二人きりってのも悪くないし。割り切ればどうってこともない。

・・・・・・今までゲーセンに通った日々は何だったという気がしないでもないが。

「じゃ、この買い物終わったら喫茶店にでも入って休憩しよっか」

「異議なし」

ふぅ・・・・やっと一息つけるか。

そう思ったその瞬間だった。

 

空に轟く爆発音。

 

「な、何だっ!?」

「俊くん、あ、アレッ!!」

桧月が空を指差す。

「げっ!!」

桧月が指差した方向を見るとそこには今まさに墜落しようとしているMSが。

って、シャ、シャレになってねぇ!?

「チィィッ!!」

両手の荷物を放り投げ桧月の手を引いて走り出す。

そして俺たちの後方で爆発。そして衝撃。

「うおっ!」

「きゃあぁっ!!」

俺は桧月を庇うように身を伏せ、爆風と破片から逃れる。

かなりの距離があったおかげか、小さな破片は降り注ぐが幸いたいしたことは無い。

「いてて・・・・・・大丈夫か?」

「う、うん。ありがとう・・・・でも」

起き上がりながら爆発のあった後ろを振り向く。

「ちっ・・・・いったいなんだってんだよ」

悲惨な光景だった。

爆発の影響であたりには火が飛び散り火災が発生している。

「何なの・・・・あれ」

桧月が呟きに振り返る。

「・・・・ジオン軍の・・・・ザク?」

そこで俺たちが見たのはジオン軍のザクUと連邦軍のMSとの戦闘だった。

「こんなとこで何だってんだ!」

ここは市街地だぞっ!くそっ!

「こっちだ!」

「うん!」

とにかくここは逃げるしかない。こんなとこで巻き込まれて死ぬなんて冗談じゃない。

「駄目ッ!こっちは行き止まりだよっ!」

俺たちの行き先を火の手が阻む。

「ちッ、なら、こっちだ!」

そうこうしている間にも戦いは激しくなって、またしても連邦軍の輸送機が墜落してくる。

冗談もほどほどにして欲しい。

俺たちは慌てて建物の間へと避難する。

「ぐっ!!」

「―――!!」

またしても爆風。

あたりを破片が飛び散っていく。

でかい破片に当ったら即死間違いなしだ。

「し、死ぬかと思った・・・・・」

爆風が収まったあと、輸送機が落ちてきたほうを見るとその中に光るものをみた。

「・・・・・・ん?」

あれは・・・・・・金庫?輸送機から飛んできたのか?

爆発の衝撃のせいか、扉が開いている。

なんとなく中が気になってそれに近づいてみる。

「コン・・・トロール・・・ユニット?」

なんだろう。その中には何かの操縦桿ようなものが入っていた。

まるでバーニングPTの操縦桿だけを取ったような。こんなもの何に使うのか。

「俊くん!そんなのどーでもいいから!早く逃げないと!」

「あ、ああ・・・・。でも、せっかくだし」

とはいえ、せっかく見つけたものを手放すのは何か惜しい。

せっかくなので貰っておこう。何か面倒なことになりそうだったらその辺に捨てておけばいいだろう。

俺はコントロールユニット(?)を肩にかけた鞄の中へとしまいこんだ。

 

 

「・・・・・・・ちっ!こっちも行き止まりか!」

「どうしよう・・・・もう逃げ場がないよ・・・・!」

桧月の言うとおりだった。逃げる先々に火の手や建物の残骸が道を塞ぎ、完全に逃げ場を失っていた。

くそっ、大体なんだってジオンのMSなんかが出てくるんだ!おまけにあんな旧式なんざ!戦争はとっくの昔に終わってるはずだろ!?

どうする?どうやって逃げきる?

「え?」

突然桧月が何かに呼ばれたかのように立ち止まる。

「桧月?」

「何か・・・・呼んでる?」

「は?」

桧月は俺の声にも反応せず、明後日の方向に目を向ける。

「・・・・・・俊くん、こっちっ!」

と、思いきや突然走り出す。

「って、おいっ!どうしたんだよいきなりっ!」

慌てて桧月を追って走り出す。

「わかんないっ。けど、こっちにいかなくちゃいけないような気がしたのっ」

「なんだ、それ・・・・」

とはいっても、俺だってなにか当てがあって逃げてたわけじゃない。

桧月の勘(?)を信じるのもあてずっぽうもさして変わらないだろう。

「・・・・・アレは?」

「え?」

さっきとは別の輸送機の残骸に巨大な影を見つけた。

「・・・・・・・MS?」

それは一機のMS。

だが、それは今そこらで戦っているジム系の量産機などではない。

「・・・・・・・・ガンダム」

呆然と俺は呟いた。

見たことの無いタイプだけど間違いない。

一年戦争、グリプス戦役、ネオ・ジオン抗争において活躍したという伝説とも言えるMS。

それが今、俺たちの目前にあった。

周りは火の海。逃げ場は・・・・ない。

そして目の前には伝説のMS。

ゾクリと。

背中を何かが走り抜けると同時に高揚感が湧き上がってくる。

「・・・・・賭けるか」

一言呟き、その機体に向かって走り出す。

「え、ちょっと!俊くん!?どうするつもりなの!」

走り出した俺を桧月が慌てて追いかけてくる。

「あれを動かす」

簡潔に答える。

「ええっ!?そんな無茶な!?それに軍の物勝手に動かしちゃ・・・!」

「このままじゃ焼け死ぬだけだ!だったら少しでも可能性のあるほうに賭けるしかないだろ!」

「う・・・だけどっ」

「そもそもアレを見つけたのはおまえだろっ!?}

「それはそれっ!だいたい俊くん、MSの操縦できるの!?」

「・・・・・・・・・作業用のプチMSなら本で見たことある」

実際に動かしたことはもちろん、本物のコックピットすら見たこと無い。

「ガンダムは戦闘用!しかもいきなり実戦なんてできるはずないでしょぉっ!!」

「為せば為る」

「む、無茶苦茶だよぉっ!!それに何でそんなに目を輝かせてるの!?」

「多分気のせいだ」

と、答えるものの自分でも顔がニヤけているのははっきりわかる。

きっと子供が新しい玩具を与えられたような顔をしてるんだろう。

こんな状況でそんな顔をしてる俺って図太いな。

「ここで焼け死ぬよりかはマシだ。それともここで一人残ってるか?」

「うぅ、なんでこんな目にあうかな・・・・・」

「文句はこんなとこで戦ってるあいつらに言ってくれ」

桧月は若干涙目になりながらもしっかりついてくる。

どうやら彼女も覚悟を決めたようだ。

逃げ場がない以上、何もしなければ焼け死ぬのを待つだけ。

少なくともコックピットの中にいればそんなつまらないオチは避けられるはずだ。

横たわる機体にたどり着き、コックピットハッチを探す。

大抵MSやPTのコックピットは胸のあたりにあるはずだけど・・・・

「コックピットハッチのスイッチははこれ・・・・・か?」

胸部上部にそれらしき装置を見つけ、勘の赴くままに操作する。

「よし、開いたっ!」

開いたコックピットの中に桧月と一緒に滑り込む。

シートに座ってハッチを閉じ、計器やらなにやらを見回す。

・・・・・・・プチMSには無いスイッチや計器、レバーがいくつもあるが動作の基本はプチMSと同じはずだ、多分。

「・・・どう?動かせそう?」

桧月が不安そうに聞いてくる。

どうでもいいがコックピットは一人用なので自然と桧月と密着した体勢になる。

詳しく説明すると俺の膝の上に桧月が座って寄りかかっているという考えようによっては物凄くオイシイシチュエーションだ。

桧月は状況が状況だけにそんなことに気が回らないのだろうが、こちらとしては物凄くドキドキものだ。

「さあ・・・・・・けどなんとかやるしかないな。って、アレ?」

平静を装いながら答えて操縦桿に手を伸ばす。

そこで気付く。

「今度は何?」

あるはずのものがそこになかった。

「・・・・・・・操縦桿がねぇ」

操縦桿があるはずの場所で右手が虚しく空を切っていた。

「・・・・・嘘」

「流石にこれじゃ、動かせないじゃないかな、多分」

「ど、どーするのよぉっ!」

「・・・・・どーっすかね」

俺が聞きたい。

そこに振動。

「おおっ!?」

「きゃっ!!」

「敵に見つかったのか!?」

振動は立て続けに起こる。

モニターも起動すらしていないので何が起きているのかさっぱりわからない。

機体にダメージはなさそうだが、このままじゃヤバイ。

「しゅ、俊くん・・・・・」

桧月が不安げな表情で見つめてくる。

・・・・・ちっ、絶対に死なせてたまるか。

何か・・・・何か手は無いか!?

――――――さっきのコントロールユニット。

「まさか・・・・・ね」

さっき拾ったコントロールユニットを取り出す。

「さっき拾ったやつ?そ、それで動くの・・・・?」

「さぁな・・・・賭けるしかないだろ」

ニヤリと笑って答える。何故だろう。内心恐怖もあるが、それ以上にゾクゾクとしている。

恐怖とはまた違う感情。ワクワクしている・・・といったほうが正しいだろうか。

こんな状況でそう感じるようじゃ俺も普通じゃないかな?

「もし、それで動いたらわたし神様信じちゃうかも・・・・・」

「それも、悪くないな」

俺の笑みに何か感じたのか。桧月ももしかしたらと思っているのかもしれない。

先ほどより若干恐怖が薄らいでるように見える。

「分の悪い賭けは嫌いじゃない・・・・・さぁて・・・・・・勝負っ!!」

手にしたコントロールユニットを叩きつけるように接続する。

そして起動するモニター。コントロールユニットはMSの起動キーも兼ねていたらしく、ほかの計器にも次々と点灯していく。

「よっしゃあっ!今回の賭けは俺の勝ちだっ!」

「俊くん、わたし神様信じるっ!」

「おわっ」

興奮した桧月が思わず抱きついてくる。

「ちょっ、落ち着けっ」

桧月の柔らかな感触が・・・なんというか役得?

かぁっと顔が赤く、いや沸騰していくのがわかる。

だが、その余韻に浸っている暇は無い。

起動したモニターには迫りくるザクUの姿が。

どうやら無人とみてこのガンダムを運び出そうとしているみたいだ。

そうそう思い通りにいってたまるか。

「これが・・・・マニュアルか!?」

適当なキーを操作したところでサイドパネルに電子マニュアルが表示される。

急いで基本動作の項を確認する。

「これがこうで・・・・・・・こうかっ!?」

マニュアルを確認しがらレバーを動かす。

ガンダムのカメラアイが光る。

胸の高ぶりが収まらない。伝説のMSを俺が動かしているという事実が気分を果てしなく高揚させていた。

ガンダムを担ぎ出そうとしたザクを払いのけて立ち上がる。

もう1機のザクがマシンガンを撃ってくるがガンダムの装甲はビクともしない。

「だ、大丈夫なの!?」

「ガンダムの装甲は伊達じゃないみたいだな・・・・」

モニターの正面で最初に振り払ったザクがヒートホークを振りあげる。

「これがこうで・・・・・・こうかっ!!」

カウンター気味にガンダムが踏み込み、拳がザクの頭にめり込む。そのまま一気に腕を振り切る。

そして頭部が爆発し、ザクが倒れこむ。

「やったぁっ!」

喜ぶ桧月と顔を見合わせ無言で親指を立てる。

「ふふっ」

桧月も同じように親指を立てて応えてくれる。

「よし・・・・・・・・・やぁぁってやるぜっ!!」

「・・・・・・俊くんてこういうキャラだったけ?」

桧月の呟きは無視し、モニターへと向き直る。

そのモニターにはコックピットへと狙いをつけようとマシンガンを構えるザクの姿が。

思い通りにはさせない。コックピットを腕でガードしながらマシンガンを撃つザクへと接近する。

慌てて腰のヒートホークに手を伸ばすが遅い。

「遅いっ!!」

接近した勢いに任せて足を振り上げる。

ガンダムのつま先がザクの装甲にめり込み、上半身を吹き飛ばす。

そして爆発。

とりあえず至近距離の敵がいないのをレーダーで確認し、モニターに表示されている文字を視認する。

「GX-9900・・・ガンダムエックス・・・・・・それがこいつの名前か」

「・・・・・ガンダム・・・・エックス・・・・」

レーダーに反応。

「接近してくる機影が5機。武器は・・・・これか!」

バックパックに備えられていたライフルを構え、背部のリフレクターが展開し、光り輝く。

「いけぇっ!」

空へと飛び立つガンダムX。

「くぅっ!」

ゲームのシミュレーターなんかでは味わうことの無い加速Gに耐える。

これが・・・・・ガンダムのパワーかっ!

上空からレーダーとモニターを交互に見比べる。

「・・・・連邦軍のMSは全部やられちゃったの?」

「らしいな・・・・・・」

数で押されたのかいくつか残骸と化したジオンのMSとジムVや戦闘機の姿が見受けられる。

そして街の至る所から火の手が上がっていた。

「・・・・・・酷い」

「・・・・・・・・・・・・」

胸のうちから表し難い怒りがこみ上げてくる。

モニターで視認できるMSはザク1機にドム3機。ゲルググが1機。

「くるよっ!」

「ああ!」

桧月が叫ぶより早くペダルを踏み込む。

ゲルググのビームをライフルを紙一重でかわす。

「くっ・・・・このっ!」

必死で操縦桿を操りガンダムを動かす。

現に操縦桿を震える手はかすかに震えている。

恐怖がないと言ったら嘘になる。

初めてのMS戦闘。一歩間違えれば待っているのは死という名の現実。

迫るビームの光が機体を掠めるたびにソレを認識させられる。

「だ、大丈夫なの!?」

「・・・・・・実戦どころかMSを動かすのは初めてだからな・・・・」

おまけにガンダムのパワーそのものが桁違いにでかい。

まともに操るどころか、そのパワーに振り回され今は敵の攻撃をかわすだけで精一杯だ。

「そんな・・・・・」

「心配するな・・・・・なんとかする」

(必ず守るから・・・・)

と、言おうとしてやめた。さすがに照れくさい。

「俊くん・・・・・」

そうだ・・・・俺一人ならともかく桧月が一緒にいる。なおさら負けるわけにはいかない。

自分が死ぬのはもちろん、こんなとこで桧月を死なせることだけは絶対に御免だった。

空中で地上から砲撃をかわし続ける。

向こうは旧式。機体の性能はこっちが遥かに上のはず・・・・・!

「何年も前の骨董品が・・・・・いつまでも調子に乗るなぁっ!!!」

地上のザクのマシンガンをシールドでガードしながら一気に急降下。肩口から引き抜いたビームソードを振り下ろす。

苦も無く真っ二つになるザク。

「やったぁっ!」

「・・・・操作さえわかれば基本はバーニングPTと同じようなもの・・・ようやく慣れてきた・・・・!」

機体が動くことによって感じる振動があるかないかだ。

体感Gもパワーも慣れればいい。

操縦に慣れないからといって生死がかかっている以上、四の五の言ってる余裕はない。

今、自分にできること。ただそれを全力で成す。

「反撃開始だっ!」

ヒートサーベルを構え突撃してきたドムをステップでかわし、すれ違いざまにブレストバルカンを発射。

至近距離。

威力の低いバルカンといえど、この距離なら十分な効果がある。

ドムが倒れこみ、爆発し、あたりの建物を巻き込んでいく。

「俊くん!ここで戦うのは・・・!」

「ああ!海まで引き寄せる!」

桧月の言わんとしていることを察し、頷く。

これ以上街に被害を出すわけにもいかない。

他のMSたちに背を向け海へと向かって飛ぶ。

「追いかけてきたよっ!」

「しっかりついてこいよ・・・・!」

上下左右不規則に飛行しながらやつらの攻撃を避けながらひたすら飛ぶ。

海を目指して。

「よぉし・・・・・・・海が見えた!」

海上の上で再び敵に向き直る。

今度は遠慮なくやってやる。

「・・・・・・借りは・・・・・まとめて返す・・・・・!」

レバーを引き、一気に敵機のなかに突っ込む。

「やっちゃえ!」

「おうっ!」

ドムのバズーカを横に移動してかわす。

続いてライフルの照準を合わせて引き金を引く。ビームの光は寸分の狂いなくドムに叩き込まれる。

爆発。

だが、その影から飛来するバズーカの弾。

かわしきれない。

「くおっ!?」

肩に直撃。

振動がコックピットを揺らす。

だが、ガンダムの装甲はそれにすら耐える。

「流石はガンダム・・・・・ってか。お返しだっ!」

お返しといわんばかりに砂浜のドムにビームを連射。

閃光。

「すごい!すごい!」

桧月の喜びをよそに俺は自分でも驚くほど冷静に戦況を分析する。

敵はあとゲルググ1機!このガンダムの性能なら敵じゃない。

一気に片をつける!

敵の攻撃を紙一重でかわし、ライフルで反撃。

かわされた。

そのままゲルググが肩から突っ込んできた。

「くぅぅっ!!」

「きゃぁっ!」

手に持ったライフルが弾き飛ばされ、振動が俺たちを襲う。

間髪入れずゲルググがビームナギナタを下から振り上げようとしている。

「させるかぁっ!!」

すかさず肩口から振り下ろすビームソードでそれを受け止める。

ビームとビームの相互干渉がスパークを引き起こす。

それに構わずブレストバルカンを撃つ。

バルカンといえどこの近距離ならば十分な威力を発揮する。

ゲルググの装甲に無数の弾痕が穿たれ、ナギナタを振り上げようとする力が弱まる。

「こ、のおっ!」

ビームソードを一気に振り下ろしてナギナタを弾き飛ばす。

「こいつで・・・・・・・ラストォッ!!!」

振り下ろしたビームソードをそのまま横薙ぎに一閃。

そして閃光が奔った。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

生き延びるため、伝説のMS「ガンダム」へと乗った少年と少女。

生き延びたと思うも束の間。

それは始まりに過ぎなかった。

襲い掛かる無数のMS。

MSの操縦に不慣れな少年ではその危機を乗り越えるだけの力は持っていなかった。

追い詰められる白き機体。

だが、少女の力を借り、ガンダムXはその秘められた禁断の力を解放するのであった。

 

次回!スーパーロボット大戦MO 第2話

 

「あなたに、力を・・・」

 

 

機体データ

名称:ザクU
形式番号:MS06F
ジオン公国の量産型MS。生産性、汎用性に富んだ傑作機で、公国軍の主力MSとして多くの戦局に投入された。
F型は基本的に宇宙用だが、地上においても実戦に耐えうる性能を持つ。
新西暦191年時には既に旧式と化している。

名称:ドム
形式番号:MS09
ジオン公国の量産型MS。熱核ジェットによるホバー移動を可能とした、陸戦用の量産型重MS。
胸部に装備した拡散ビーム砲は、火気として出力が低すぎたため、目くらましとして使用された。
新西暦191年時には既に旧式と化している。

名称:ゲルググ
形式番号:MS14A
一年戦争末期にジオン公国軍が開発した量産型MS。
高い運動性とビームライフルの標準装備により量産機にして連邦のRX-78に比肩する高い性能を実現している。
新西暦191年時には既に旧式と化している。

 

キャラクター紹介

・天野俊一

澄空学園3年生。中学時代に桧月彩花を事故から救ったことが縁で智也達と知り合う。
稲穂信とは中学時代からの悪友。現在は朝凪荘にて一人暮らし。
性格は一見無口でクールに見えるが実際は単純な性格である。
彩花には片想中だが、智也の存在により自分の想いは叶うことは無いということを自覚している。(少なくとも今現在は)

・桧月彩花
澄空学園3年生。三上智也・今坂唯笑とは幼馴染。
性格は優しく明るい典型的ヒロインタイプ。唯笑の良いお姉さん役といったところ。
勉強も出来て料理も上手い。
智也に対して想いを寄せているが、唯笑、智也との幼馴染という関係が壊れるのを恐れ告白できずにいる。
中学のときに交通事故に遭うが天野俊一のおかげでたいした怪我は負わなかった。

 

 

 

 

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LAST UP DATE 04/05/06
UP 04/03/21

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色々突っ込みどころ満載ですがとりあえず連載開始。

こんなもん書いてないで今までの連載の続きを書け!と思う人も多いでしょうがその辺は趣味で書いてるものなのでご容赦を・・・。

感想・意見とか貰えるとうれしいです。