リリカルブレイカー
第5話 『黒いドラゴン』
「なのはっ!」
魔力流によるジュエルシードの強制発動。それをユーノが感知したのは、なのはに帰宅を促し、単独でのジュエルシード探索を開始してまもなくのことだった。
すんでのところで広域結界を展開したユーノは、なのはと合流すべく駆け出し、すぐになのはの姿を見つける。
なのはの方もジュエルシードの発動を感知しており、既にバリアジャケットを纏っていたのだが、そのなのはの表情がいつになく強張っているように見えた。
「ユーノくん、大変!ゆーとくんがっ!」
「勇斗がどうかしたの?」
なのはの言葉からは表情以上に彼女が焦っていることをユーノに伝える。
「さっき電話してたんだけどいきなり通じなくなっちゃったの!いくら呼んでも掛け直しても繋がらなくてっ!」
「まさか……ジュエルシードの発動に巻き込まれて?」
「……多分、そうだと思う」
彼との会話が途切れたのはまさに魔力流が発生した直後。状況を考えればジュエルシードの発動に巻き込まれたと考えるのが自然だろう。
二人同時に顔をある方向へと向ける。そこにはビルとビルとの間から天を貫かんばかりに激しい閃光が発せられていた。
「あの子もすぐ近くにいるはず……。とにかくジュエルシードの封印をっ!」
勇斗の安否は気がかりだが、このままジュエルシードの発動を看過するわけにもいかない。彼がジュエルシードの発動に巻き込まれているのならば、強制発動を促したフェイトとその使い魔への対応よりも、ジュエルシードを最優先に封印しなければならない。
ジュエルシードの封印はなのはに一任し、ユーノ自身はフェイトらの襲撃に備え、周囲を警戒する。
「うん!レイジングハート、行くよ!」
『all right』
ジュエルシードの発動地点までは距離がある為、長距離封印を行うべくレイジングハートを構える。
四つの環状魔法陣がレイジングハートの周囲に形成され、その先端には桜色の魔力光が収束していく。
「ディバイーン……バスターっ!!」
なのはの言葉をトリガーにその膨大な魔力を解き放つ。
なのはが得意とする直射型砲撃魔法。膨大な魔力を放出するそれはシンプルであるがゆえに強力な威力を誇る、なのはの十八番ともいえる魔法である。
そして、ジュエルシードを封印すべく解き放たれた魔力光は一つではなかった。
なのはのいる場所とは別の場所から金色の光が迸る。なのはと同じようにジュエルシードを封印しようと撃ち放たれたフェイトの砲撃魔法であろう。
いきさつはともかく、これでジュエルシードの封印は完了するはずだ。
だが、その確信にも似たユーノの予想はあっけなく裏切られることになる。
桜色と金色の閃光が着弾する直前に、ジュエルシードから放たれていた光が消失し、代わりに巨大な影が天空へと飛翔する。直後、なのはとフェイトの魔法が互いに着弾し、互いの相互干渉により閃光が辺りを包み込む。そして天を揺るがさんばかりの咆哮が響き渡る。
なのはとフェイトの砲撃が空振りに終わったのは明らかだった。
「ねぇ、ユーノくん?」
「なに、なのは?」
構えたレイジングハートの先へ視線を固定しながら、なのはが引きつった顔でユーノ問いかける。
心なしか答えるユーノの声も震えているように思える。
「あれ、何かな?」
「黒いドラゴン……かな」
二人の視線の先には雷雲を背に、紅き眼を携えた漆黒の竜が巨大な翼を広げていた。
「ね、ねぇ、フェイト?アレってちょーっとやばそうじゃない?」
アルフは宙に浮かぶドラゴンを指差しながら、自らの主である少女へと声をかける。
ただのドラゴンであれば、優秀な魔導師である主とその使い魔である自分なら十分対応可能だろう。だが、この世界にドラゴンなど存在するはずもない。
自分たちが強制発動させたジュエルシードが原因であることは疑うべくもない。
そしてあの漆黒の竜から感じることのできる魔力、威圧感は自分たちが知る従来のドラゴンとは比べ物にならないほど強力だった。
流石の自分たちもアレに正面から挑み、ただで済むと思えるほどアルフも楽観的ではない。
場合によっては撤退も考える必要があると考え、自らの主へと目を向けるが、そこにはやはり自分の想像通りにデバイスを構える主の姿があった。
「確かに強そうだけど……でも、やらないと。母さんが待ってる」
予想通りの主の答えに小さくため息をつく。
この小さなご主人様は基本的に自分のことを省みない。目的のためなら自身が傷付くことも厭わずに無茶をしてしまうのだ。
アルフとしては危険なことや無茶はしないで貰いたいのだが、この主は彼女の母親の為ならどんな危険や無茶も厭わない。自分がいくら諌めても聞き入れてくれないことも、過去の経験からわかりきっている。
「そう言うと思った。あたしがサポートするからさっさと終わらせて帰ろう」
ならば自分にできることはただ一つ。主の盾、牙としてフェイトを守る為に全力を尽くす。自らの命をかけて。
「うん、ごめんね。付き合わせて」
「水臭いこと言わないの。フェイトはあたしのご主人様なんだから当然だろ。でも危なくなったらさっさと逃げるよ?」
「うん、わかってる」
とフェイトは言うが、アルフとしてはあまり信用することはできない。くどいようだが、この主は自分の限界を超えて無理をしてしまうのだ。
危なくなる前に決着を着けるか、いざというときは首根っこ捕まえてでも連れ帰ろうと密かに決意する。
「じゃあ、行こう。アルフ、バルディッシュ」
『yes, sir』
「あいよ」
黒の魔導師は飛ぶ。
願いを叶える宝石をその手中に収めんが為に。
「ねぇ、ユーノくん。なんかアレすっごく強そうに見えるんだけど」
「う、うん……確かに今までのジュエルシードとは比べ物にならないくらいの力を感じる」
黒竜の体長は軽く三メートルを超えるだろうか。広げた翼も合せれば十メートル弱にも及ぶかもしれない巨体からは、見掛け倒しに留まらない脅威を見て取れる。
「もしかしてあれってゆーとくんだったりする?」
今までにない力の強さを発揮するジュエルシードと、連絡が取れなくなった少年。
あの少年が自分と同じように魔力の素養を持っていることはなのはも知っている。そしてジュエルシードがより強い力を発揮するには、強い意志と願いを必要
とするのをユーノから聞き及んでいる。それらの知識から、あの黒竜がジュエルシードに取り込まれた少年の変わり果てた姿だという結論に辿り着くのはそう難
しいことではなかった。
「うん。多分……間違いない。勇斗の魔力がジュエルシードの力で増幅、暴走してるんだと思う」
「じゃあ、早く助けないとっ!」
「うん!でも気をつけて。あのドラゴンだけじゃない。あの黒い子や使い魔もいるんだから」
なのはに警告しながらも自らの定位置であるなのはの肩へと移動するユーノ。
攻撃能力ではなのはに遠く及ばないが、バインドやシールドによるサポートならばお手の物だ。
「ゆーとくん、絶対に助けるからね」
『flier fin』
なのはのブーツから魔力によって形成された翼が広がる。
「行こう!レイジングハート!ユーノくん!」
『all right』
白の魔導師は飛ぶ。
かけがえのない友達を救うために。
「フォトンランサーセット」
『fire』
咆哮する黒竜の背後から金色の魔力弾が飛来する。
黒竜は周囲を警戒しておらず、弾速も易々と回避されるような速度ではない。完全に直撃コース。
だが、魔力弾は黒竜に届く直前で光の壁のようなものに阻まれ四散する。
「魔力シールド……それもかなり強力な奴だね」
「ただでさえ硬そうな奴なのに……面倒臭いことだねぇ」
フォトンランサーの着弾でフェイト達の存在に気付いた黒竜は、ゆっくりとその頭をフェイト達へと向ける。
漆黒の鱗に身を包み、鋭い爪と牙を持つ黒竜。その真紅の瞳は自らの獲物を睥睨するかのように、フェイトとアルフ達の姿を映し出す。
ただそれだけの行為で黒竜から放たれるプレッシャーが増大したように感じられる。
「ま、あの白いのも来てることだし、ちゃっちゃとやりますか」
ちらりとアルフが一瞥した方向にはレイジングハートを携え、こちらに向かってくるなのはの姿が見える。
今までの言動から、いきなりこちらに攻撃をしかけたりはせず、ジュエルシードの封印を優先するだろうが下手に割り込まれてもこちらの連携の邪魔になる。
その前に決着をつけるのがベストであろう。
フェイトとアルフの二人は互いに一瞥し、頷くと共に散開する。
フェイトがそのスピードでかく乱し、それに気を取られた相手のバリアをアルフが叩き割り、そこにフェイトが攻撃を当てるのが彼女たちの最も得意とするバトルスタイルである。今回もその例に漏れず、フェイトが黒竜の懐へと潜り込む。
『Scythe form』
「はあぁぁっ!」
魔力刃を形成した鎌をすれ違い様に黒竜の腹部めがけて一閃。
「速いっ!?」
だが、黒竜はその巨体に見合わぬ敏捷さを見せ、すんでの所で金色の刃から逃れる。
そればかりかフェイトの行く手を塞ぐかのように広げられた翼がフェイトを襲う。
「こんのぉっ!」
フェイトをかばうようにして割り込んだアルフが拳を振るう。
翼の勢いを止めるのではなく、あくまで逸らすようにして打ち込まれた一撃に、巨竜の翼は目論見どおりにフェイトの軌道を外れる。
それを確認したアルフは続けて黒竜の体へと拳を打ち込もうとするが、振り下ろされた爪がそれを許さない。
舌打ちしながら後退してその一撃から逃れる。
『Photon lancer Full auto fire』
そこに撃ち込まれる雷撃の弾丸。単発ではなく複数同時発射による着弾の衝撃に、黒竜は体を大きく揺さぶられるが、形成する魔力シールドを貫くには至らない。
黒竜はその真紅の瞳をフェイトへと定め、咆哮と共にその顎を大きく開く。単なる咆哮ではない。その証拠に並び立つ牙の隙間からは、ちろちろと黒い炎が覗き見えた。
寸暇を置かずに膨れ上がった黒炎の塊がフェイトへと放たれる。
フェイトの想像以上に黒炎の迫るスピードが速い。だが、それ以上のスピードを持つフェイトはマントを翻しながらそれを回避する。
「フェイトっ!!」
「っ!?」
アルフの警告が放たれた時、既に黒竜の牙がフェイトの間近に迫っていた。
「くっ!」
回避が間に合わない。そう判断したフェイトは反射的に魔法陣による円形の盾――ラウンドシールドを形成する。
この一撃でシールドが抜かれることはないだろうが、防御が得意でない自分ではそれなりの魔力を削り取られてしまうだろう。
油断したつもりはないが、この黒竜のスピードとパワーはフェイトが想定していたそれを遥かに上回っていた。
『Divine』
「バスターッ!!」
あわや牙がシールドへと届こうとする寸前。
桜色の閃光が黒竜を飲み込み、膨大な光の奔流が黒竜を大きく弾き飛す。
「フェイトちゃんっ、大丈夫!?」
「フェイトッ!」
なのはがフェイトへと近づこうとするが、それを阻むようにアルフが割り込み、射抜くような視線でなのはを牽制する。
「私は大丈夫だよ、アルフ」
唸るように威嚇を続けるアルフを宥めたフェイトは、とまどうような視線をなのはへと向ける。
何故、敵であるはずの自分を助けたのか。その瞳には不審ととまどいがありありと見て取れた。
「私は――」
「なのはっ!」
そのフェイトの視線に答えるかのようになのはが口を開いたとき、黒き炎の濁流がなのはの視界を覆い尽くす。
ユーノの警告に気付いた時には既に時遅し。
なのはがとっさに取れた行動はレイジングハートを手にした腕で頭を庇う動作だけだった。
『Protection』
なのはを救ったのはレイジングハートがオートで発動したバリアとユーノの防御魔法。二重のバリアがなのはを包み込み、黒炎を遮る。
だが、それを持ってしても黒炎の威力は防御の上から魔力を削り取っていく。
いつ終わるとも知れない黒炎を遮ったのは黒き魔導師とその使い魔。
「アークセイバーッ!!」
「バリアブレイクっ!!」
黒竜の上下に回り込んだフェイトが上空から魔力の刃を撃ち放ち、アルフが下から拳を突き上げる。
それぞれの攻撃が黒竜のシールドに直撃し、爆発がその巨体を包み込む。
なのはとユーノ、フェイトとアルフが黒竜を中心にそれぞれ距離を置いて静止する。
「大丈夫?なのは」
「う、うん。ありがと、ユーノくん」
「うん。でもあのドラゴン、なのはの砲撃を食らってまだ動けたなんて……」
ユーノの言葉になのはも表情を険しくして爆煙に包まれた黒竜へ視線を向ける。
なのはのディバインバスターの威力は通常の魔導師のそれを大きく上回る。暴走したジュエルシードを叩きつけた魔力だけで強引に「封印」してしまうほどに。事実、今までのジュエルシードの暴走体でディバインバスターに耐え切ったものはなかった。
しかし、あの黒竜は耐えたどころか反撃の一撃まで叩き込んできた。動植物や魔力を持たない人間を取り込んだだけではここまでの力を持ち得ない。
魔力を持つ人間を取り込んだ場合、こうまで力が増幅されるのかと驚愕を禁じえなかった。
おそらくフェイトとアルフの攻撃でも仕留めるまでには至っていないだろう。その憂いが正しかったことを証明するかのように黒竜の咆哮が爆煙を吹き飛ばし、その巨体が健在であることを示していた。
「化け物だね。あいつ」
苦虫を噛み潰したように呟くアルフだが、フェイトはその言葉を否定するかのように静かに首を振る。
「でも攻撃は通ってる。倒せない相手じゃない」
フェイトの言葉どおり、黒竜の全身は度重なる攻撃で大きく傷付いていた。なのはの砲撃によって体を覆う鱗の大半は削り取られ、頭と足からも血が流れ出ている。
なのは達の攻撃は非殺傷設定ではあるが、純粋な魔力生命体である黒竜には魔力ダメージがそのまま肉体的ダメージを与えていた。
黒竜のダメージだけを考えれば止めを刺すのは容易に思えるが、手負いの獣は追い詰めれば追い詰めた分だけより強い力で逆襲してくる。
怒りに燃える黒竜の瞳と雄叫びがそれを如実に物語っていた。
「フェイトちゃん!私、なのは!高町なのは!」
黒竜から注意を逸らさないままフェイトへ呼びかけるなのは。友達である少年を確実に助けるには、自分の力だけでは足りないかもしれない。そう思ったなのはは気持ちの赴くままにフェイトへと呼びかけていた。
フェイトも黒竜を警戒したまま、なのはの声へ耳を傾ける。
「お願い!力を貸して!あのドラゴン……ジュエルシードには私の友達が取り込まれてるの!」
その言葉にフェイトの瞳がほんのわずかに揺らぐ。
あのジュエルシードを強制発動させたのは自分たちだ。ならば彼女の友達が取り込まれたのは自分たちに責任がある。
「フェイトっ!そんな奴に構う事ない!あたしたちの目的はジュエルシードを手に入れることだろ!」
ジュエルシードを封印すれば、取り込まれたモノも開放されるのだから気にすることはない。言葉にしない想いがアルフの口調には込められていた。
自分たちの目的。それはジュエルシードを手に入れること。それが母での願いであれば、どんなことをしても叶える。
その想いが揺らぎかけたフェイトを次なる行動へと駆り立てていた。
『photon lancer. get set.』
小さく頷いた後、バルディッシュを掲げ周囲に複数の魔力発射体であるフォトンスフィアを形成する。
「ファイア!」
射出と同時に移動。幾つかはかわされたが、高速の雷撃が黒竜の体へと次々に突き刺さり、その衝撃が黒竜を揺さぶる。
先の攻撃で既に黒竜のシールドは完全に消失している。
お返しとばかりに黒竜の炎弾が次々と放たれるが、得意の高速機動で回避していく。
「チェーンバインド!」
翼をはためかせ、フェイトを追おうとした黒竜の四肢、翼を魔力で形成された鎖が拘束する。
黒竜を拘束する鎖はアルフが発したものだけでなく、さらに別の方向からも放たれていた。
目を向ければ空中に静止した状態でフェレットの使い魔もチェーンバインドを発生させていた。
さらに視線を這わせれば、その近くにはあの白い魔導師がバカみたいな量の魔力をチャージしているのが見て取れる。
積極的な連携を取れずとも、こちらが作ったチャンスを逃すつもりはないようだ。獲物を掠め取られるようで気に入らないが、文句を言うほどの余裕は無い。
傷付いているとはいえ、黒竜はバインドを引き千切らんばかりの力で暴れているからだ。
「フェイトッ!」
アルフが呼びかけるまでも無く、自らの主もこの機を逃すような真似はしない。
「ディバイィィン・バスタァァァァッ!」
「サンダー・スマッシャー!!」
同時に放たれた金と桜色の閃光が今度こそ黒竜の体を撃ち貫き、眩いばかりの閃光と爆発を引き起こす。
閃光が収まると黒竜は声もなく崩れ落ち、その身を大地へと墜落させていく。
「やったの……?」
「多分……」
落下の衝撃と共に大地に臥した黒竜を油断なく、見据えながら呟くなのは。
フェイト達も安易に近づくことはせずに、黒竜を警戒している。
黒竜の翼は半ばから引き千切れ、片腕も消失している。立ち上がることすら不可能なダメージと言っていいだろう。
それにも関わらず、不安を掻き立てられるような不吉な予感をその場にいる誰もが感じていた。
なのはの言葉に頷くユーノが確信を持てないのもそのせいだ。
もし、この場にジュエルシードに取り込まれた少年がいたらこう言っていただろう。「おまえ……それは失敗フラグだ」と。
少女は知らない。
少年は力を欲していた。
結末を知っていても何もできない自分。
ただ見ているだけの自分に苛立ちを感じていた。
自らより小さな女の子が戦う姿をただ見ているだけしかできない自分。
仕方ないのないことだと自分を慰めながらも、その実、誰よりも力を欲していた。
そして発動した願いを叶える宝石はその想いに感応した。
力を求める想いと暴走する力は打ちのめされてなお、更なる力を欲した。
少年が秘めた魔力の素養とジュエルシードの力が共鳴し、数十倍に増幅され、倒れ臥した黒竜の体が輝きに包まれていく。
「フェイト。これって……!」
「なのは、気をつけてっ!」
アルフとユーノの口から同時に警告の言葉が発せられる。
黒竜を包み込む光は沈静を告げるものではない。その輝きが増すごとに発せられる魔力が膨れ上がる。傷つく前のそれを上回る勢いで。
黒竜が輝きの中でゆっくりと立ち上がる。光が収まったとき、黒竜の姿は変貌していた。
より禍々しく。より強靭な姿へと。体の数箇所に赤い水晶のようなものが埋め込まれ、前腕と一体化したその翼はさらに肥大化し、凶悪な威容を誇っていた。
変化する前と変わらぬ真紅の瞳が天を射抜き、その口からは咆哮が迸った。
■PREVIEW NEXT EPISODE■
なのはとフェイトの想いを嘲笑うかの如く、黒竜はさらなる力を得て闇竜として羽撃いた。
互いの目的、想いを果たすため、白と黒の魔導師はついに共闘を果たす。
想い、貫くために。星の光と雷光が交錯する。
勇斗『俺の声が聞こえるか』
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UP DATE 09/6/23
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