HAPPY★KANON

 

第4話

 

 

 

 

 

   「すぐにわかるわよ」

 

2時間目の授業が始まる前に香里が言った言葉。

そのときには意味がわからなかったが俺はすぐにそれを知ることになる。

 

2時間目は例の名物先生の授業ではなかったせいか、無事に終了。

「ふぁ、あ〜」

休み時間に入るなりあくびをつき、伸びをする。

「なんだか随分眠そうだな?」

「まぁ・・・・な」

そりゃ、昨日はむつきママと一緒の布団で寝たのだからまともに眠れるわけが無い。

首筋にかかる息。

背中にあたる柔らかい感触。

そしてむつきママのぬくもり。

緊張と興奮でまともに眠れるはずが無い。

まさに、天国としかいいようがない状態だったからなぁ。

「何、ニヤニヤしてるのよ?」

香里が変なものを見るような目でこちらを見てる。

いかん、思わず昨日のことを思い出してるうちににやけてしまったようだ。

「イヤ、ベツニナンデモナイゾ?」

「何故、いきなりカタカナになるんだ?」

「いや、北川の突っ込みに期待してたんだ」

「・・・・やっぱり変な奴だな」

「ほっとけ」

(・・・・・・・お前だって俺と同じ経験をすればわかるさ)

と心の中で呟く。

もし、そんなこともあろうものなら迷わずにその記憶を抹消させ、東京湾に沈めるが

「お前、今何か危険なこと考えてないか?」

「ハッハッハッハ、そんなことあるはずがないじゃないか」

勘の鋭い奴め。

「漫才はその辺にしといてそろそろ移動しないとマズイわよ、お二人さん」

「移動?」

「ああ、そうか。次は二ノ舞先生の授業だもんな」

「そうなのか?」

「そうなのよ。化学は実験が多いから基本的に化学室で授業をするのよ」

「ほうほう。・・・・・・・・・・・・で、これはどうするんだ?」

俺の視線の先。

「くー」

そこにはさっきの授業と同じ状態で寝ている名雪の姿があった。

「起こすしかないわね」

結局、名雪を起こすのに手間取った俺たちが化学室に着いたのは授業開始ギリギリだった。

 

 

 

授業のチャイムがなると同時に扉が開き、落ち着いた雰囲気のショートカットの女性が入ってくる。

なるほど、あれが噂の二ノ舞先生か・・・・・・。

たしかに美人だけどどの辺が名物なんだろうか?

「ふぁ・・・・」

いかん・・・・・・眠くなってきた・・・・。

転校初日から居眠りはまずいと思って1,2時間目は耐えて来たがそろそろ限界・・・・かな。

「ふぁあ・・・あぁ」

おやすみ・・・・・・ぐぅ。

 

「・・・それでは、今日はハイゼンベルクの量子力学について勉強したいと思います。

教科書の92ページを開いてください・・・・・。あっ・・・・・寝ている人がいます・・・・・・・ね?

・・・・・・・どうしましょう?授業中です・・・・・・・起きてください・・・・・・・・・・・。こういう時は、おはよう?・・・・・・・でも、もう午後ですね・・・。

えっと、こんにちは・・・・・でもない・・・・・・・・・・えい」

 

ガキィンッ

 

「うおっ!?」

途端に頭に鈍い衝撃が走る。

思わず目を覚まして上を見上げると・・・・。

「居眠り防止装置・バージョン1.2です・・・・」

「って、それ、ただの金槌じゃん!!!」

金槌を携えた二ノ舞先生に思わず突っ込む俺。

しかも無表情でやってるところが微妙に怖い。

「・・・・・そうともいいます。・・・・・・・・・私の授業・・・・退屈ですか?」

首をかしげて、二ノ舞先生は俺の瞳を覗き込んでくる。

う・・・・何故か妙に罪悪感が湧いてくる・・・・・。

「授業、がんばりますから、あなたも・・・・しっかり目を開けて、この世界のことをもっともっと学んでください・・・・・ネ?」

「はい・・・・・・すみませんでした」

俺が素直に謝ると微かに二ノ舞先生が微笑んだ・・・・・・ような気がする。

「・・・・・・・・そういえば」

ジッと俺を見つめる二ノ舞先生。

 

 

 

「・・・・・・・あなた誰ですか?」

 

 

 

ガタタッ!

 

「おお、派手に転んだな」

「う、うるさい・・・・・」

北川に一瞥くれてからとにもかくにも椅子に座り直しして二ノ舞先生に自己紹介をする。

「今日から、転入してきた相沢祐一です。よろしくお願いします」

「・・・・・相沢?・・・・・・・そう、あなたが・・・・・」

「・・・・・・・・・あの・・・なにか?」

何故か二ノ舞先生の俺を見る目が変わったような気が・・・・・・。

「・・・・いえ、なんでもありません・・・・・・・・・・・今は。それでは、授業を再開します」

(今、小声で何か言いませんでした?)

そんな俺の思いも虚しく(?)授業は再開されていく。

「相沢くん、クラス委員として一つだけ忠告しておくわね」

香里は何故か神妙な顔つきだ。

「二ノ舞先生の授業だけは寝ないほうがいいわよ」

「・・・・・・・さっきの金槌か?」

「それだけならまだいいんだけどね・・・・・」

何故か溜息をつく名雪。

「それだけ・・・・・って、まだあるのか?」

「今にわかるわよ。名雪でさえ、この授業は寝ていられないんだから」

「そうそう、水瀬が寝ないのは、化学と体育だけだもんな」

北川がもっともらしく頷く。

「マジか・・・・?体育はまだわかるが、名雪が寝れない授業があるんなんて・・・・」

「うー、もしかしてみんな酷いこと言ってる?」

「全然そんなことないわよ、ね?」

「そうそう、そんなことあるはずがないじゃないか」

「二人とも怪しいよ・・・」

「・・・・おい、そろそろ気をつけたほうが良さそうだぞ・・・・」

不意に北川が緊張した声をだす。

名雪と香里も表情を引き締めだす。

「何があるんだ?」

「授業に集中してたほうがいいよ・・・・。命に関わるからね」

・・・・・・・命に関わるってオイ。

「それでは・・・・・この薬品を・・・ビーカーに加えます」

先生のところを振り向くとちょうど何かの薬品を調合するところだった。

「今よっ!」

香里が小さな声で合図するとみんな一斉に机の下へと伏せる。

「え?え?え?」

俺がわけも分からずうろたえていると。

 

ドオンッ

 

爆発音。

そして視界を埋め尽くす黒い煙。

そして叩きつけられる爆風。

「待て!待て!なんだ!これはーっ!!!!!!ぐはぁっ!!」

 

黒い煙が晴れたとき・・・・・・視界に二ノ舞先生が立っていた。

(何故、中心にいたのになんともないんだ・・・・・・)

なぜか、二ノ舞先生には髪も服も何事もなかったように平然としている。

だが、他の生徒達は制服が汚れていたリ、髪が乱れている。

そして俺は・・・・・・・・・・・・・

壁に叩きつけられてボロボロだった。

なるほど・・・・・・命に関わるね・・・・納得。

 

 

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                                UP Date 6/29

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こないだみなづきの資料が欲しくてキャラコレの2巻と一緒にTVと原作のオフィシャルブックを購入。

・・・・・・・・・・・・・・みなづきがほとんど載ってねぇッ!!!!!!!!Σ( ̄ロ ̄lll ) 

かなりショックを受けて凹んでたりして・・・・あぅぅぅぅ。

つーか、展開遅っ!