HAPPY★KANON

 

第2話

 

 

 

 

 

 

 

俺が7年ぶりにこの街に帰ってきた今日。

そして一文字先生・・・・・・・もとい、むつきママが家に来た最初の夜。

「さ、おかわりもありますから遠慮しないでたくさん食べてくださいね

食卓にずらりと並べられた和食。

そして机の向こうでにこにこしてる一文字先生。

「いただきます」

手近なものから口に運ぶ・・・・・・・・・。

「どう・・・・ですか?」

不安と期待に満ちた視線で見つめてくる先生。

「・・・・うまい・・・です」

お世辞などではなく本当にそう思った。

素朴であっさりとした味付けはなんというか家庭的な味で、今まで施設で暮らしていた俺にとって非常になつかしい味だった。

そのまま、手当たり次第に先生の料理を平らげていく。

先生はそんな俺をとても嬉しそうに見ていた。

 

 

先生の料理を一つ残らず平らげた俺は先生の入れてくれたお茶で一息ついていた。

「いやー、むつき先生って本当に料理が上手いんですねー」

「祐一さん」

何故か先生が怒っているような顔で見つめてくる。

目の前に指を突きつけてくる。

 

「先生・・・・じゃないですよ。お家では「ママ」って呼んでくれなくちゃダメですよ?

それから敬語もナシです。家族で敬語なんて使わないでしょう?ね

 

そういって、極上の笑みを浮かべる一文字先生・・・・もとい・・・・・むつきママ。

「はい・・・・・じゃなくて、うん」

「よろしいそれじゃあ早速、練習しましょう」

「え?れ、練習って・・・・?」

たじろぐ俺に先生は笑顔で

「呼び方の練習ですよ。さ、どうぞ・・・」

・・・・・・・逃げ道はないようだ。

「え、えと・・・・・・・・むつき・・・・マ、・・・ママ・・・」

くぅっ!言ってて恥ずかしくなってくる!

 

「はいこれからはお家ではそう呼んでくださいね

 

・・・・・・・・・・・・・・・・この笑顔の為ならこれぐらいなんてことない気もする。

それぐらいむつきママの笑顔はその・・・・なんていうか可愛いかった。

 

「さ、今日はもう遅いから一緒に寝ましょう!明日から学校ですしね」

 

「え、あ、うん・・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・待て

「・・・・・・あの、今、なんて言いました?」

きっと、俺の聞き間違いに違いない。

 

 

「ですから、一緒に寝ましょうっていいいましたよ

 

 

・・・・・・・一緒に?

・・・・・・・・誰が?

・・・・・・・・誰と?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「えええええええええっ!?」

 

驚きを隠せない俺にむつきママは相変わらずにこにこした笑顔で

 

「当然じゃないですか。きょうは私とあなたが親子になった最初の夜なんですよ?」

 

「いや・・・えと・・・・・ほら、布団うちに一枚しかないし・・・」

僅かに残った必死の理性で抵抗を試みる俺。

だが、所詮その抵抗は無駄に終わった。

 

ふわり

 

「私に遠慮しないで下さい・・・・・今まで・・・・さびしかったでしょ?

 だから・・・・・・・・これからは私におもいっきり甘えてください・・・・・・・・・」

 

そういってむつきママはそっと俺を抱きしめた手にそっと力を込める。

無論、俺にこれ以上の抵抗などできるはずもなかった。

そして何よりもむつきママの思いを無駄にしたくなかった。

その夜は、むつきママと同じ布団で寝ることになった。

が、むつきママと同じ布団の中で密着した状況、首筋にかかるむつきママの吐息。

当然緊張と興奮によって、ぐっすりと眠れるわけが無く、俺が眠りについたのは午前2時を回ってからだった。

 

 

 

 

 

「それじゃ、先に職員室に行ってますからね。遅刻なんてしたらダメですよ?」

「は〜い」

そういって、一足先に学校へ向かうむつきママを見送る。

ふぁ・・・・なんとか学校までは無事にたどりついたか・・・・。

結局、むつきママと一緒に生活することになったのだが、こんなことが周りにバレたらやばいことになる。

だが、ママの性格からしてそこまで、気にかけているとも思えない。

そこで俺が幾つかのルールを提案し、実行することにした。

 

1、朝は別々に登校する。

2、学校ではママと呼ばない。

3、必要以上に馴れ合わない。

 

以上が基本的なルールだ。

だが、このルールを提案したときのママは・・・・・

 

「あ、あの・・・・じゃあ、学校で”だっこ”とか”なでなで”もダメ・・・なんですか?」

「ダメ」

さすがにこの年でそういうことをされるのは恥ずかしすぎる。

人前ならなおさらだ。っていうか、ある意味俺の立場が危うくなりかねない。

「ううっ・・・でも私・・・・祐一さんにそういうことをしてあげたいな・・・・」

うぐぅ・・・・・・むつきママ・・・・・その表情は反則です。

だが、俺は鋼の精神でむつきママを説得する。

「しょうがないだろ?学校で他の人に知られるとマズイわけだし・・・・ね?」

「そう・・・・ですね。わかりました。私、我慢します・・・・・・だから・・・・」

そういって、上目遣いでみあげるむつきママ。

「今日だけは・・・・・一緒に学校にいきましょう?・・・・ね

俺の鋼の精神といえどもそれに耐えることはできなった。

 

 

校舎が見えたところでママと別れたわけだが、校門まで来ても登校時刻が間近なせいか、あたりにいる生徒の数はまばらだ。

軽く、伸びをして校門をくぐろうとしたところで、

「祐一〜」

いきなり間延びのした声に呼ばれる。

声のほうを振り向くと、いとこの少女が微笑んでいた。

「おはよう!祐一」

屈託無く笑う、名雪。

ずっと昔からそれが当たり前のような挨拶。

「お、おう・・・・・おはよう」

「へぇ〜、この人が名雪のいとこなんだ」

名雪の隣にいるウェーブがかかった髪の少女。

「誰だ?」

「わたしは美坂香里。名雪のクラスメートよ。よろしくね、相沢くん」

「俺は相沢祐一・・・・・・って、なんで美坂さんは俺の名前を知ってるんだ?」

「んふふ〜、それは秘密。ね、名雪?」

俺のもっともな疑問に少女は気にした風もなく、屈託の無い笑みを浮かべる。

「わわ、香里〜」

そう言って意味ありげな笑みを浮かべる香里と慌てふためく名雪。

何がなんだかさっぱりだ。

「ね、相沢くんのクラスってまだわからないの?」

「ん?え〜とたしか、む・・・・、じゃなくて確か一文字先生のクラスらしいけど・・・」

「えっ、ほんとっ!?」

突然、名雪の顔がパッと輝きだす。

「お、おう・・・・・」

たじろぎながら俺が答えるとそこで予鈴が鳴り出す。

「あ、あのね、祐一・・・!」

興奮した名雪が何か言おうとするが、

「さ、名雪、教室までダッシュよ!」

「え、あ、ちょっ・・・・香里〜」

そのまま香里に引くずられていく。

そして香里がわずかに振り向いたときの視線はやっぱり意味ありげだ。

そして呆然と取り残されたのは俺一人・・・・・・・・・。

「・・・・・・・・職員室はどこだ?」

途方にくれる俺。

「どいた、どいたー!!」

「えっ?」

俺が何事かと思って振り向くとそこにはショートカットの女性がもの凄いスピードで走ってくる。

そして、いぶかしむ間もなく眼前まで迫って、・・・・・・・・・・・・そのまま激突した。

「うおおおおっ!?」

暗転する世界。

そして遠ざかる意識。

待て・・・・・待ってくれ。

なんだ、この展開は・・・・・・・。

転校初日に誰かとぶつかるというお約束はともかく、何故にこんな地上高くまで吹き飛ばされてるんだ?

迫る地上。

俺の意識はそのまま闇へと飲み込まれていった・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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                                UP Date 6/8

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べたべたというか・・・・・ありきたりな展開だなぁ・・・・(汗)

彩花「ほんとにねぇ・・・・前半なんて原作そのままだし・・・」

まっ、それはプロローグとしてってことで許してください(汗)

さて、さて、次回は誰と誰が新たに登場するんでしょうか?

彩花「・・・・まさか、考えてないの?」

・・・・・・・あんまり^^;

ドゲシッ!!

ぐ、ごほ・・・・・・

彩花「こんなダメ人間の管理人ですが、よろしくお願いしますね。では、また次回」