GSと魔法使い(仮)

麻帆良愚連隊西へ! その2

 

 

 

 

 

「あー、すっかり遅くなっちまった」

 ネギ達に遅れること十数分、正気に戻った横島がようやく大宮駅へと到着していた。

 アスナ達のクラス集合時間はとっくに過ぎてはいるが、点呼や注意事項の呼びかけなどの時間を多めに取ってある為、新幹線の発車時間までまだ多少の余裕がある。

 駅へと辿り着いた横島は、そこで合流するはずの人物の姿を探すが、指定してあった待ち合わせ場所にその姿は見当たらない。

 時間を見れば、待ち合わせ時間を10分程過ぎている。待つことに痺れを切らして移動したのか。
携帯で呼び出そうとも思ったが、よく考えなくてもその人物が駅構内で行く場所などそうそう限られていることに気付いて思い留まる。

 大体の見当をつけて歩き回ってみれば、案の定、目的の人物はすぐに見つかった。相手の方もこちらに気付いたようで、遅れたことを咎めるような視線を送りつけてくる。

「おふぉいふぁよ、ふぉふぉひま」

「遅れたのは悪かったが、とりあえず口のものを飲み込んでから喋れ」

 言われた彼女はすぐに口にしていたうどんを啜り、ゴクン、と飲み込む。そして一息ついた後、改めてその口を開く。

「遅いっ!人を何分待たせるのよ、アンタは!」

「たかが10分くらいで文句言うなやっ!俺なんかまだ何も食っとらんのだぞっ!」

 その証拠としてグーっ、と横島の腹の虫が切なく鳴き声をあげる。

「そんなの、早く起きないあんたが悪いんでしょーが」

 横島の言葉も腹の音も歯牙にかけず、少女は手にしたうどんの残りを食べ始める。

 あてつけのようにうどんを食べる少女を恨みがましく睨む横島だが、新幹線の発車時間を考えると、問答をしたり自分が注文して食べて行く程の余裕は無い。
多少、腹立たしいものはあるが、少女の言うことは正論でもある為、ここは大人しく引き下がる。

「とにかく、あんまり時間に余裕はないからな。さっさと、それ食って行くぞ、タマモ」

「はいはい、言われなくてもわかってるわよ」

 横島に急かされながらも、少女――タマモはゆっくりときつねうどんを啜るのであった。

 タマモが何故ここにいるのか、というとなんてことは無い。

 今回の依頼は木乃香の護衛である為、気配察知に長けたタマモがいたほうがいざ何かあった時により迅速に対応できるだろうと判断してのことだ。
それに雪之丞は地方への除霊、愛子は修学旅行と、タマモ以外の事務所メンバーがそれぞれ出払っている中、タマモ一人を事務所に留守番させておくのも気が引けたこともある。

 現地である京都で合流しようとも考えたが、出会った当初より遥かにマシになったとはいえ、タマモはまだまだ一般常識に疎く、一人で京都まで行かせるのにも不安があった。
結局、厄珍堂へ憑依君一号を受け取った時に事務所にも戻り、そのまま事情を説明がてらタマモを伴って麻帆良に戻っていたのである。
麻帆良男子寮で一夜を過ごした後(勿論タマモは狐の姿で)、タマモは大宮駅に直行していた。タマモがさよの件に同行しなかったのは、ただ単に彼女が面倒臭がっただけである。

 余談では有るが、麻帆良男子寮は本来、二人から三人の相部屋となるのが普通だが、横島はGSという特殊な事情を考慮して、一人部屋になっている。
横島個人の荷物は大した量ではないが、除霊道具一式などはそれなりに場所を取るし、素人が迂闊に触ると危険なものも含まれているため、これは当然の処置ともいえるだろう。

 

 

 

 

「ねぇ……さっきから思ってたんだけど、もしかしてソレ変装のつもり?」

「もしかしなくてもそうだが、何か変か?」

 3−Aの一つ前の車両に乗り込んだ横島とタマモ。それについてはタマモも特に疑問も無い。護衛対象の近辺を警戒するのは当然のことだ。
だが、同行者である横島の格好に関しては、大いに疑問を抱かざるを得ない。

「はっきり言って変。っていうか不審者?それでばれないつもりなら相手を馬鹿にしてるとしか思えないわね」

 タマモがそう思うのも仕方ない。何しろ今の横島は黒のサングラスをつけ、黒のスーツに身を包んでいる。
黒のスーツだけならともかく、新幹線の車内でサングラスまで付けていれば怪しさ倍増。
おまけにトレードマークであるバンダナはそのままだ。はっきり言って新幹線の車内において目立つことこのうえない。

「ヘーキ、ヘーキ。普段と違う格好なら意外とばれないもんだって。それにあの子らと知り合って日も経ってないしな」

「そういうもんなの?」

「おお、既に実証済みだからな」

 サングラスを持ち上げて二カッと笑う横島。
実際、昔に指名手配されたとき、この格好で堂々と人前に出ていた経験が彼の自信の裏付けになっている。

「ふーん。ま、いいけどね」

 仮に正体がばれなくてもその格好では周りの注目を買ってしまうのでは?と思ったが、それをわざわざ口にはせず、タマモは興味を無くした様に窓へと視線を向ける。
依頼の話を聞いた限りでは、横島の正体がばれること自体は問題ない。
あくまで影から護衛に徹することで木乃香達に余計な心配をさせずに修学旅行を楽しんで貰おうという横島なりの気遣いでしかないのだ。
仮に横島の存在が3−Aの生徒達にばれたところで、事前にGSの仕事として京都に行くと伝わっているのでいくらでも誤魔化せるし、木乃香に魔法のことさえバレなければ依頼上の問題は無い。
 タマモとしてはむしろ、さっさと正体をばらして木乃香に同行してしまえとさえ思う。護衛するには近ければ近いほど都合が良いのだから。

 

 新幹線が動き出してどれくらいの時間が経っただろうか。動き出した当初は窓から見える光景を楽しんでいたが、30分もしないうちにそんなものは飽きる。
新幹線の振動が程よい眠気を誘い、うたた寝をしかけたとき、タマモの超感覚に引っかかるものがあった。
ほんのわずかだが異質な霊力の存在を捉える。それは普通の霊能者や魔法使いでは気付けないような些細な違和感。

「ねぇ、横し……ま?」

察知した霊力の詳細を辿るべく、感覚を研ぎ澄ませ、横島に伝えようとしたタマモだが、さっきまで隣にいたはずの横島がいない。

 

 

「ボク横島!ボクと一緒に旅の想い出を作りませんかっ!?」

「あの……お客様、車内でそういった行為はは困るんですけど」

 その姿を探すまでも無い。通りかかった車内販売の売り子へと一心不乱に声をかけナンパしていた。
売り子の女性も顔を引きつらせて困惑した表情を浮かべている。

 タマモは無言で横島の背後に立ち、狐火を放つ。

「……まったく、世話焼かすんじゃないわよ」

 黒焦げになった横島の背を踏みつけながら嘆息するタマモ。

「あ、あのお客……様?」

「あ、これなら平気だからもう行っていいわよ」

 目の前で起こった出来事に動転しているらしい売り子にタマモは面倒くさげに答え、追い払うように手を振る。
売り子の女性は人一人がいきなり目の前で燃えて、「はい、そうですか」と立ち去るのはいかがなものかと思うが、ちらりと視線を下げた先にある黒焦げの物体がピクピクと動いてるのを確認すると、係わり合いになるのはまずい手合いだと判断したのだろう。
そそくさとその先の車両へと移動してしまう。

「いきなり何するんじゃいっ!?」
「仕事中にナンパなんかしてんじゃないわよっ!?バカなのっ!?死ぬのっ!?」

 横島の女好きは今に始まったことではないが、流石に自分が真面目に仕事しようとしている横でナンパなんかされてはたまったものではない。

「京都に着くまで何も起きそーにないしいーじゃんかっ!せっかくの修学旅行が潰されたんだからそれくらい見逃せーっ!!」

 と、言うのが横島の言い分である。ただの修学旅行ならば横島もまだ押さえが効いただろう。だが、彼は夏子から彼のクラスの修学旅行先がハワイだと聞いてしまったのだ。
ハワイと言えば海。海といえば水着。見目麗しい少女達の水着姿が溢れかえるビーチ。
それを仕事のために断腸の思いで、文字通り血の涙を流しながら諦めたのだ。
煩悩の塊である彼が、せめて新幹線の中でのナンパくらいは許されるべきだと考えるのも無理はない。

「アホなこと言ってるんじゃないわよっ!たった今、変な霊力を感じたばっかなんだ……から?」

「何?」

 タマモの言葉に表情を変える横島。同時にタマモも自分で口にしたことで、やっと自分が察知した妙な霊力のことを思い出す。
横島の行動のせいで今の今まですっかり忘れていた。慌てて周囲に注意を向けるが、それらしき気配は既に感じ取れない。代わりに別の異変を察知する。

「なんか後ろの車両が騒がしくない?」

「何?」

 二人は顔を見合わせて頷くと、そそくさと後ろの車両のドアを開けてそっと覗き見る。そしてその視線の先に展開されていた光景に思わず言葉を失う。

「……カエル?」

「……これって、例の関西呪術なんたらの仕業なの?」

「さぁ?」

 ドアの先には数え切れないほどのカエルが飛び交い、生徒達が必死にそれを捕獲していた。
ある意味では阿鼻叫喚の光景といえなくも無いが、カエルを除けば危険や異常といったものは見受けられない。
タマモにも視線を向けるが、彼女も呆れたような微妙な表情で首を横に振る。タマモもカエル以外の異常は感知していないようだ。
カエル程度ならわざわざ手を出すこともあるまいと、二人はそのままドアを閉め、何事も無かったかのように自分たちの席に着いた。

 学園長から受け取った資料によると、基本的に魔法使いはその存在そのものを秘匿するため、一般人の前で行動を起こすことは稀だとあった。
東と違い、関西呪術協会は陰陽術などの日本古来の技術が中心に使われているため、魔法使いというよりむしろGSに近い。
現に関西呪術協会に所属している者の中にはGSとして活動しているものも存在する。
その為、一般人の目の前で行動を起こさないという前提がどこまで通用されるかは怪しいところだが、少なくとも逃げ場のない新幹線の中でこれ以上大きな騒ぎを起こすことは無いだろうと二人は判断したのだ。

「ただの牽制のつもりなんだろうけど、あんな下らないことする人間がアンタの他にもいたのねー」

「失敬な。俺だってあんな無意味なことはせんぞ」

「……どっちにしろ、相手のレベルは低そうね」

「しょーもない相手と判断させてこちらの油断を誘う作戦かもしれんぞ」

「アンタが言うと説得力あるわね」

「ほっとけや」

 

 

「へっくし!?」

 横島達がのんびりと話し込んでいるころ、横島のナンパから逃れた売り子の女性が盛大にくしゃみをしていた。

「うー、誰かうわさしとるんやろか?」

 鼻をすすりながらも、彼女は内心でほくそ笑む。

 彼女こそ、関西呪術協会に所属する陰陽師で、木乃香を狙う一派の首謀者でもある天ヶ崎千草、その人であった。

 売り子に扮した彼女が3−Aの生徒達が乗る車両にいたずら用の呪符を仕掛けた張本人である。タマモが感知したのは彼女が仕掛けた呪符の霊力だったのだ。
そして仕掛けた呪符が発動することで起きた混乱によって、まんまと間抜けな子供先生が持つ親書を式神が奪い取ることに成功した。
子供先生が式神を追っていったが、千草にとって親書そのものは取り返されたところでさして問題はない。
本命はあくまで木乃香であり、親書は彼女にとってはオマケに過ぎないのだから。
 今回の目的は狙いは親書にあると思わせ、木乃香に対する警戒を逸らすことだ。
実際にそれだけで木乃香のガードが甘くなると考える程、楽観はしていないが、一つのことに集中するよりも、二つのことに対して同時に集中するほうが難度が高く、疲労もしやすい。

 直前に変な男にナンパされるというトラブルはあったものの、ここまでは面白いように千草の予定通りにことが進んでいた。
ナンパされた男の連れ添いらしき少女が何らかの術で男を黒焦げにしたことで、もしや関東魔法協会の手の者かとも警戒したが、間抜けそうなナンパ男に中学生程度の少女。
そんな見た目からして頼り無い二人組が、関東魔法協会の長の孫である木乃香の護衛につくだろうか?
関東魔法協会の本拠地でもある麻帆良には腕利きの魔法使いが大勢存在する。
それらを差し置いてあんなボンクラを体現したような男と小娘が護衛足りうるだろうか?

 千草が出した答えは否。
見かけだけでなく、影から護衛する立場の人間があんな自分から目立つような行動をするはずがない。
仮に彼らが護衛だったとしても組するには容易い相手だろうとも考える。
 後に千草はその判断が間違っていたと思い知るのだが、それはまだ先のことであった。彼女にはその二人などとは比較にならない危険が忍び寄っていたのだから。

「ケケケ、ミツケタゼ」

「へ?」

 千草が聞いたのは地獄の底から響くようなおどろおどろしい声。ゾクリとした悪寒が背筋を走り、反射的に振り向く。

――――そこに振り下ろされるのは巨大な刃。

「ひいっ!?」

 千草の鼻先を掠めるように振り下ろされた刃はそのま新幹線の床へと突き刺さる。

「な、な、なななっ!?」

 突然の出来事に千草は腰を抜かし、へたりと座り込んでしまう。一歩間違えば脳天から真っ二つ、という事態に動揺を隠せない。

「――ふん、貴様のような小物がこの私にちょっかいをかけるとはいい度胸だ」

「はい?」

 背後から突然頭を鷲掴みにされ、そのまま持ち上げられる。振り向くことはおろか、指を動かすことすらできない。
背後から感じる圧倒的なまでの殺気。迂闊なことをした次の瞬間には自分の頭がトマトのように握り潰される。
それを確信、いや幻視させるほどの威圧感が千草に浴びせられていた。

「陰陽術か。貴様、関西呪術協会の者だな?」

背後の者が声を発した次の瞬間、千草の頭を掴んでいた手が離され、代わりに体が反転。両手足が引っ張られ、空中に貼り付けにされたように固定される。
千草の視界に映ったのはターゲットと同じ制服に身を包んだ金髪の美女が不敵に微笑んでいる姿だった。
だがその美女は、その見目麗しい姿とは裏腹に、圧倒的なまでの鬼気を発している。その鬼気から千草は直感で悟ることになる。

 アレは人間ではない。別のナニカ。文字通りの化け物だと。

「あああああああんた、一体っ!?」

 震える声でようやく千草はそれだけの言葉を搾り出す。その目には恐怖のためか、うっすらと涙すら浮かべている。

「フン、私のことを知らなかったのか?下調べが足らんな」

「数日前マデ麻帆良カラ一歩も出レナカッタンダカラ当然ダローヨ、ゴ主人」

「ひっ!?」

 何時の間に現れたのかゴスロリチックな衣装に身を包んだ人形が千草の首に巨大なナイフを押し当てている。
人形がスッとその腕を動かすだけで千草の頚動脈は容易く切り裂かれるだろう。

「喧しい。お前は黙ってろ。……コホン、まぁ、いい。貴様も裏の世界に携わるものならば知っているだろう?」

 そこまで言って美女はニィィッと口の端を吊り上げる。

 千草は見た。その口から覗かせる歯の中に異様に鋭い牙が存在するのを。それが千草に彼女の正体を予感させると同時に更なる絶望を抱かせる。

 麻帆良に封じられた悪名高き伝説の吸血鬼。

「吸血鬼エヴァンジェリン。闇の福音<ダークエヴァンジェル>の名を……」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」

 言葉にならない悲鳴が千草の喉から発せられる。闇の福音ことエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。魔法に携わるものならば誰もが知っている悪の魔法使い。

 女、子供、老人。……すべてに平等に暴力を持って制する。
 残忍、凶暴、悪辣、およそ悪の形容すべて当てはまる悪の魔法使い。
 最恐、最悪、最強の魔法使い。血のしたたる音の中を生き、骨の折れる音を好み、血の叫びの中で微笑む。
 あのサウザウンドマスターを除き、彼女に挑んで生きて帰った者はゼロ。この世で最も危険な悪の魔法使い。

エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル!!(※デマです)


 麻帆良の制服を着ているということは彼女も3−Aの生徒として千草の召喚したカエルの被害に遭ったのだろう。
彼女は長年、麻帆良に封印され、一歩もその外へ出ることは不可能と聞いていたがそれが何故ここにいるのか?
今の千草にそれを知る術は無い。唯一分かっていることは、自分があの闇の福音に手を出してしまったこと。
伝え聞いた話の通りならば、確実に自分の命は今ここで潰える。命乞いなど意味はなさない。自分にできることはこのまま只震えて死を待つばかり。

 そうして震え上がっている千草にエヴァはさも楽しそうに肩を震わせて笑う。

「そう脅えるな。今の私は機嫌が良い。今後一切、私に害を為さないと誓えるのなら今回に限り貴様は見逃してやろう。誓えるか?」

 舌舐めずりしながら語るエヴァに千草は涙を流しながら必死に首を縦に振る。選択肢など彼女には無いのだから。

「あぁ、勘違いしないようにな。あくまで私個人の邪魔をするなと言っているだけだ。私以外の者、あのぼーやや近衛木乃香に関してはその限りではない。そこのところを履き違えるなよ?」

 千草の顎をそっと指先で押し上げ、耳元で囁く。

「私はあくまで今回の旅行を楽しみたいだけだ。私に害を及ぼさない限り、貴様らに一切の手出しをしないことを約束してやろう」

 要は自分に手を出さない限りは何をしても良い。千草にはエヴァが何故、わざわざこんなことを言うのか理解できない。

「だが、ほんの少しでも私に害を為した場合は……どうなるか、わかるな?」

 千草が首を縦に振るのを見届けるとエヴァは満足そうに微笑み、人形を伴ってその姿を消していた。

 いつの間にか体を固定していた術も解け、千草は涙を流しながらへたりと座り込む。しばしの時間を放心したまま過ごす事になる。

 

 

 

 

「フフ、フハハハ、ハーハッハッハ。見たか、茶々丸、チャチャゼロ!あの女の脅えきった顔!これだから悪の魔法使いはやめられん!」

「ノリノリダッタナー、ゴ主人」

「えぇ、本当に楽しそうでした」

 幻術を解き、元の姿に戻ったエヴァが高笑いしながら歩き、その後をチャチャゼロを抱いた茶々丸が続く。
一応認識阻害の術を使っているため、周囲の人間に注目されることは無い。

3−Aの車両がカエル騒ぎに見舞われてすぐにエヴァ達はそれが陰陽術士の仕業だと気付き、それを為したであろう人物を特定し、脅しをかけたというわけである。

「しかしあれで良かったのですか、マスター?」

「当然だろう。ぼーややじじぃの用件に私がわざわざ首を突っ込む理由は無い。いい余興じゃないか。せいぜい酒の肴として楽しませてもらうさ」

 茶々丸の言いたいことを察したエヴァは楽しげに笑う。

 今回の修学旅行に一波乱あるかもしれないということはあらかじめ学園長から聞いている。だが、それに関して自分が手出しをするつもりは毛頭なかった。
何しろ久方ぶりに麻帆良の外へと足を踏み出したのだ。そんな些事に関わっている暇などあろうはずもない。
いや、正確に言えばネギが今回の件に対してどう立ち回るかを、傍観者として見物するつもりだった。
自分に弟子入りするというのならば、このくらいの危難は払いのけて当然。

「ぼーやのお手並み拝見といこうじゃないか。それにあの横島も来ているんだろ?」

「はい、私達の前の車両におられます。妖の方をご同伴のようですね」

 茶々丸のセンサーは事前に横島とタマモの存在を感知している。

「あの男もまだ底を見せていないからな。今回はギャラリーとして楽しませてもらうさ。フフッ」

 

 

 

 こうして3−Aの修学旅行一日目はさほど大きな問題も無く夜を迎えようとしていた。

 

 

 

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UP DATE 09/04/09

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次回からは感想レスは日記でしていきます。や、感想貰って次の更新まで間が空いてそれまで返せないのもアレですし……。

>更新待ちかねてました。御苦労様です。こんばんは。
>いよいよ修学旅行開始、の前にさよの問題解決…コ○ーロボットとは…
>しかも鼻押すとこまで…直球ですね?(褒め言葉
>あと、"アキラやアスナ達"って書き方に期待感がむくむくと。
>次回からの旅行開始を楽しみに待ってます。勿論他の作品も。
>尚、レス返しにあった更新云々は全く心配してませんでした、Z出てたわけですし。
>ガンダムではXが一番好きな私としては、時間見つけてやりたいのですがね。それではまた。
いつも感想ありがとうございます。まー、書くたびに間隔が長くなってるのはいい加減どうにかしたいとこなんですが。
花粉症がしんどいのですと言い訳。Zは楽しかったですねー。GXの出番は多かったので満足です。
ちょっちサテライトキャノンの扱いが軽かったり、いきなりパワーアップ機体だったりで不満がないわけではないですけど。

>更新楽しみにしています、頑張ってください
>なんか皆が生き生きしてる感じがとっても良いです。続き、楽しみにしています。
>先生…続きが見たいです
>およそ10ヶ月ぶりに来たら、作品が更新されていて嬉しいです。
>いやぁ〜〜、おもしろかったぁ〜〜♪
>でも、一寸更新が途絶えてるようで残念です。
遅くなってごめんなさい。更新遅くても見捨てないでもらえると嬉しいです。

>とりあえずヴァンパイアパニック、よませていただきました。とっても面白いです
>展開が素晴らしい!
楽しんでいただけたのならば幸いです。

>GSと、こちらのネギまとのクロスを一通り読ませていただきましたが、大変おもしろかったです。
>本来ならば、読んだ最後のところに書くべきかもしれませんが、1つ願望を。
>GSとネギまと同一世界ということなので、GSとバトルジャンキーの戦いはさけてもらえると、他と違っていいかな〜っと。
>隠さなくて良いGSなので、一般人と戦わない、もしくは、報酬を必要とするとか(苦笑)。作者様のプロットと考えが異なるかもしれませんが、うまい手を考えていただければ、それはそれで楽しみにさせていただきます。
>SSを書くのは大変だとは思いますが、引き続き楽しく読ませていただきます。
バトルジャンキーというのは横島が転入したクラスの連中のことでしょうか?
少なくとも横島だったら相手にしないでひたすら逃げ続けるでしょうね。

>GS知らないのに面白いだと?!
さぁ、今すぐGS美神全巻揃えて読む作業に取り掛かるんだ。このSSの100倍は面白いぞっ!